５回 ページ6
・
サイボーグ人間に招かれ、渋々リビングらしき部屋に入る。
｢何突っ立ってるんだ？座れよ。｣
サイタマさんは私を見るなりそう言った。
『あ…はい。失礼します。』
さっきからサイボーグ人間の視線が痛い。
｢…
先生。この女本当に先生の彼女なんですか？
頭血まみれですし…。｣
やっぱりさっきの返り血付いてたんだ。
というか付けられたの方が正しいか。
｢あ、それは俺がミスってつけた。
俺の彼女…というか彼女役をこいつにお願いした。｣
あぁ、付けてしまったという認識はあると…
…ん？
｢あ、先日の怪人対策ですか。さすが先生！
恋人の1人や２人見繕うのは容易いという事ですね！｣
怪人対策…？
というかこのサイボーグ人間は私に対してさっきから失礼ではないか？
『え、いや待ってください。
彼女"役"？怪人対策…？いまいち状況が分からないんですが…。』
私がそう言うとサイタマさんの横頬に冷や汗がつたった。
｢…あ、やべ。｣
｢…
もしかして先生、何も伝えていないんですか？｣
｢…すまん！忘れてた。｣
サイタマさんは私の前で手を合わせ謝るようなジェスチャーをとった。
…
話を聞いた所…、
彼女になって欲しいのではなく、あくまで彼女を演じて欲しいとの事だ。
先日街に出た怪人は街中のカップルをさらっているとの事だ。
その怪人はカップルの前にしか現れないとの事で恋人のいないヒーロー達は手を出せないという。
…つまり私に恋人役をさせてその怪人をおびき出すと。
『…あの、話は理解したんですが、
別に恋人のいるヒーローの方々が救いに行くと思いますけど…。』
｢いや、ヒーローたるもの別のヒーローに頼っているようじゃ…｣
｢先生はC級ヒーロー。1週間ごとに協会に活動実績を報告しないと名簿を除外されてしまいます。｣
サイタマさんの言葉を遮るようにサイボーグ人間は私に説明した。
『な、なるほど…』
｢……まぁそういう事だ。｣
言い訳をするのをやめ、私の方を向く。
｢って事で何卒！！｣
そして再び私にお願いするようにジェスチャーをとった。
『えっと…。はい。それくらいなら。
というより、今日私を助けてくれた事を報告出来るんじゃ…』
私が口を開くと、光の速さでサイタマさんが動いた。
…協会に報告しに行ったらしい。
本当にこの人は大丈夫なんだろうか、少し、というかとても心配だ。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぬう(プロフ) - 尊き (7月12日 15時) (
レス) @page28 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - 本当にすごすぎます！いままで見てきた作品の中で1番好きです。更新頑張って下さい！ (2023年4月10日 0時) (レス) id: d09a02bb23 (このIDを非表示/違反報告)
桜もちち(プロフ) - 可愛い(ﾉ≧▽≦)ﾉ 更新頑張ってください！ (2023年1月29日 2時) (レス) @page28 id: e3d83c89b4 (このIDを非表示/違反報告)
エトワル(プロフ) - ふぃあろさん» 光栄ですありがとうございます(;_;)更新頑張ります〜❕ (2022年12月14日 16時) (レス) id: 0580717352 (このIDを非表示/違反報告)
ふぃあろ(プロフ) - なんですかこれめちゃくちゃ面白いです無理です尊い……。神作品ですねこれは！！！！更新頑張ってください！！！✊ (2022年12月13日 20時) (レス) @page25 id: 91505f2211 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エトワル | 作成日時：2022年12月4日 9時
