天邪鬼の時間 ページ46
・
数分間泣きじゃくった後、いつの間にかみんなの顔が笑顔に変わっていた。
「あはは、なんだこれ…」
「なんか、感極まっちゃったかも。恥ずかし。」
「というか、今日の名字さん完璧すぎたよな？俺、目が離せなかった。」
その言葉を聞いて、小さくガッツポーズをとる。
のど自慢大会の筈が、いつの間にかアイドルみたいになってる気がするけど…
「これで私達も優勝間違いなし！自信を持って言えるよー！」
『か、茅野さん…それはプレッシャーが…』
笑顔でとんでもない発言をする茅野さんに心臓がバクバク言っている。
「大丈夫！Aちゃんは1人じゃないよ。
私達がついてるから！だからAちゃんも。ね？」
…その姿は、前までの茅野さんと違って、私にとって心強く、頼れる形に変わっていた。
『…！
…はい！わ、私も…！みんなの為に、全力を尽くします。』
本番はまだなのに、心臓がうるさい程動くのが分かる
私達はそのまま、最後の練習を切り上げて学校を出た。
…下駄箱に向かうと見知った背中があった。
『…！
イトナくん！』
名前を呼ぶと、鋭く大きな目は私を捉える
「…A。練習は終わったのか」
『あ…はい！今日は早く終わりました。』
「そうか。…お疲れ様。」
そう言うと、イトナくんは私に近付き、そっと目の縁をなぞった。
『い、イトナ…くん…？』
「…何かあったか。」
そう言って、心配そうに私を見つめる。
恥ずかしくなって目を逸らしてしまう自分が憎い。
『…？
えっと……』
頭をフル回転させて、言葉の意味を考える。
「…。目、赤い。」
目…？
あ…そっか。泣いた後だって事忘れてた。
恥ずかしい所、見られちゃったな…。
『あ！…練習中に、その、感極まっちゃって。
えっと、…すぐ治ると思います。』
そう言って1歩下がる。
自然と私を優しく触れる手が離れた。
何でだろう、あれ程触りたいと思っていたのに。
体が言う事を聞いてくれない。
「そうか。」
イトナくんはそれだけ呟くと、反対方向を向いた。
…あれ、怒ってる？いや、そんな事ないか
「帰るぞ。」
そのまま歩き出す背中を見て、急いで追いかけた。
『は、はい！』
私もイトナくんのこと、何でも分かるようになりたい。
そして、いつか恩返しがしたい。
そんな事を考えながら、イトナくんの後ろについて行った。
・
終わり
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瑠璃 - 続きまってます。 (8月3日 1時) (
レス) @page46 id: c299acdaed (このIDを非表示/違反報告)
Runa☻ - 続き気になる……！！！！少しでも良いので続き描いて欲しいです！！！！？お願いしますm(_ _)m！！！ (2022年9月24日 18時) (レス) @page46 id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 続きが無いのは悲しいです。また続いて欲しいです！(´・ω・｀) (2021年12月31日 9時) (レス) @page46 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
エトワル(プロフ) - 読者の皆様、沢山のコメントありがとうございます！ なかなか返信ができない中、せめてのお詫びとして、リクエストをコメントにて受け付けます！良さげな内容でしたら番外編等の参考にさせて頂きたいです！(全てを取り入れられる訳では無いのでご了承ください;;) (2021年5月30日 1時) (レス) id: 0580717352 (このIDを非表示/違反報告)
ころころ - すっごい今更だけど、面白いのに此処で終わるのはもったいないと思うし私自身続きを作って欲しい所です。 (2020年4月25日 18時) (レス) id: b025342a77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エトワル（元はるる） | 作成日時：2018年7月8日 14時
