結束の時間 ページ45
・
裁縫セットを先生に返し、私は何事もなかったかのように授業をうける。
イトナくんと過ごす日々は私にとって刺激が強い。
イトナくんが居なかった学校生活なんて思い出せない程、私の中で強い存在になりつつある。
今日もいつもと変わらず時間が過ぎていく。
大会前日とは思えないくらい。
ただ、いつもと違ったのは皆が明日の私を応援する為、応援練習をしてくれた事だ。
なんだか気恥しいけど、素直に嬉しく思えた。
「よし！これくらい練習すりゃ大丈夫だろ！」
「そうだね。Aちゃん、明日は楽しみにしておいてね！」
『は、はい…！私も頑張ります！』
本当に…嬉しいけど…。
私の顔だらけのうちわを、あまりこっちに向けないで欲しいな…。
放課後になり、最後の練習が始まる。
すると開始早々先生が口を開いた。
「これは先生の持論ですが、本番前は一通り通すくらいで、
今日は明日の為に体力温存するのが1番だと考えます。」
舞台に立つ身としては、今日ほど鬼練習するべきだと思うけど、
今まで先生の言うことを信じて練習をしてきた訳だし、反対する気もない。
「んー、確かにそうかも。前日に怪我とか笑えないし。」
「私達もする事は特に無いから明日に備えて体力温存ー！」
皆が口を開くと共に、少し手を挙げて意見を述べた。
『…はい。わ、私も…。それでいいと思います。』
「よし！名字さんもそう言っている事だし、今日は1回通して終わりって事で！
早速準備進めるぞー！」
「「はーい！」」
磯貝くんの指示の元、私達はリハーサルの為準備を進めた。
私は衣装に着替えて、他の子達は照明や演出チェックを進める。
教室の前に立つと、いつものメンバーが目を輝かせて私を見ていた。
『そ、それじゃあ歌います…！
お願いします…！』
音源がなり、身体いっぱいに息を吸う。
『〜〜』
この日はいつもより歌えてる。
歌い始め、直ぐに気付いた。
完璧な衣装、完璧な演出。
きっとこれは私1人じゃ作れなかった舞台だ。
みんなの目は私を追い、私もみんなを見つめ返す。
…楽しい。
歌う事がこんなに楽しいなんて。
歌いながら、自然と涙が溢れた。
みんなの目にもうっすら涙が見える。
『〜……
みんな…っ』
「Aちゃん…！！」
歌い終わると、私達は引き寄せられるように自然と互いに抱き締めあい、その中で泣きじゃくった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 263人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃 - 続きまってます。 (8月3日 1時) (
レス) @page46 id: c299acdaed (このIDを非表示/違反報告)
Runa☻ - 続き気になる……！！！！少しでも良いので続き描いて欲しいです！！！！？お願いしますm(_ _)m！！！ (2022年9月24日 18時) (レス) @page46 id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
橋本アリィちゃん(プロフ) - 続きが無いのは悲しいです。また続いて欲しいです！(´・ω・｀) (2021年12月31日 9時) (レス) @page46 id: 1849d0f1e6 (このIDを非表示/違反報告)
エトワル(プロフ) - 読者の皆様、沢山のコメントありがとうございます！ なかなか返信ができない中、せめてのお詫びとして、リクエストをコメントにて受け付けます！良さげな内容でしたら番外編等の参考にさせて頂きたいです！(全てを取り入れられる訳では無いのでご了承ください;;) (2021年5月30日 1時) (レス) id: 0580717352 (このIDを非表示/違反報告)
ころころ - すっごい今更だけど、面白いのに此処で終わるのはもったいないと思うし私自身続きを作って欲しい所です。 (2020年4月25日 18時) (レス) id: b025342a77 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：エトワル（元はるる） | 作成日時：2018年7月8日 14時
