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61話 ページ26

あぁ厄日だ。
そう感じたのは自身に降りかかる摩訶不思議な出来事によるものであった。随分と小さくなってしまった手を見て僕はため息をついた。

事の発端は銀時を遣いに行かせたことである。別件で手が離せなかった僕は銀時に遣いを頼んでいた。ちゃんと買うものを記した紙を持たせ、無事任務を遂行し帰ってきた銀時が僕に渡したのは1つの飴玉であった。話を聞けば「おまけでもらった」のだと言う。その飴玉を僕の掌の上に乗せ、あろうことか僕にくれたのだ。あの僕と同じくらいかそれ以上の甘党である銀時が態々甘味を渡してきたのだ。少し不審に思いつつ、僕はそれを受取り口の中に放り込んだ。苺ミルクの柔らかな甘さが口の中に広がる。その時だった。覆い被さんばかりの煙が僕を包んだ。
そして、この摩訶不思議なことが起きたのだ。
「は…?」
目の前の銀時が口をあんぐりと開けてこちらを見下ろした(・・・・・)。目線が低くなったことに気がついた僕は自身の手を恐る恐る見た。
「は…?」
銀時と全く同じ反応を見せた僕の頭にはただ疑問符しか浮かばなかった。こんなこと数百年生きて初めてのことで若干理解が追いついていなかったのだ。
「ち、縮んで……?」
喉から搾り出された声は笑ってしまうほどか細く、銀時の叫びだけが木霊した。


「え、は…あの、…ど、どうしたんですかそれ……」
銀時の叫びを聞きつけた松陽は僕を見て困惑気味に呟く。まだ理解が追いついていないのか、言葉が詰まっていた。僕だって理解できてねぇよ。
「飴玉食ったら縮んだ」
「待ってください、本当に意味がわからない」
だろうな、と変に冷静になった頭で頷く。未だに口を開けて固まる原因(ぎんとき)と、わけがわからなすぎて手をあたふたと忙しなくさせる松陽と、変に冷静な当事者(ぼく)、それに加えて近づいて来る2つの駆ける足音。事態が悪化しそうだ。
「うるせぇな、銀時何騒いでんだ」
そんな声と一緒に出てきたのは晋助と小太郎である。そして何度目だろうかと達観してしまう反応を見せて、少しだけ小さな僕を見下ろし呟いた。
「「は…?A…?」」
「いかにも」

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作者名:月光 | 作成日時:2018年8月4日 0時

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