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19話 ページ20

「決まりましたか?」
自分で考えた名を頭で繰り返していると、そいつはぼくの手を引いた。ぼくが頷くと向かい合うようにして座り、ぼくの両手を握った。
「では私から。私は、私を助けてくださった方から名を拝借しました。心做しか君に似ているんです。君のように綺麗で強い方でした。どうか名をもらっていただけませんか?」
「君の名前は『A』です」
ゆっくり糸を紡ぐようにそう言った。過去を偲ぶように言うそいつに、よほど大切な人間だったのかと感じる。それに加えぼくに似ているというのだから、一度そいつを見てみたいとも思ってしまう。時の流れの差で叶いはしないが。
「A……か…」
「気に入っていただけましたか…?」
「あぁ、お前がそういうんだ。強くていい人間なんだろうな。ぼくもその名に負けないよう精進しよう」
ぼくがそう言うと嬉しそうにやつは笑った。

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作者名:月光 | 作成日時:2018年6月2日 16時

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