番外編*聖バレンタイン日2 ページ21
姐さんに付いて執務室に行くと、奥の部屋に通された。こっちは初めてだ。
紅「此処なら誰にも聞かれないでのう。ほれ、そこらに座って待っておれ。」
云われた通りにソファで待っていると、少しして姐さんが盆を持って戻って来た。
『あっすみません!ありがとうございます!』
紅「済まぬの、今丁度紅茶を切らしておってのう。」
そう云ってコトリと目の前に置いたのは、抹茶。
『お気遣いなく。抹茶も好きです。』
紅「其れは良かった。」
和室では無いけれど、一応作法に気を付けて茶碗に口を付ける。お上品で美味しい。
紅「其れで?相談とは何じゃ?」
『えっと、、其れがその、』
う、いざ云うとなると一寸恥ずかしい。
紅「まぁ、大体判るがの。中也の事じゃろう?大方、猪口を渡したいとかそんな事じゃろうて。」
な、ななな
『何で其れをっ⁈』
紅「簡単な事じゃ。其方の顔に書いておる。恋する乙女は判りやすいからのう。」
顔をペトペト触ってみるけど、よく判らない。そんなに判りやすいのか。
紅「何をそんなに悩んでおるのじゃ?渡したいのなら渡せば良い。」
『然し………きっと中原さんはたくさん貰うんでしょうし、私なんかが渡しても、お邪魔になってしまいますから…』
紅「何じゃ、そんな事か。」
そ、そんな事って。
紅「安心せい。中也はその手の話に疎くての。つい去年までバレンタインの存在も知らなかったぐらいじゃ。」
え?バレンタインを知らなかった?中原さんが?
マジ?
紅「だから、そんなに沢山貰うておる訳でも無いのじゃ。」
『あの中原さんがですか?だって、中原さんのこと好きな人ぐらい沢山…』
紅「中也は、慥かに部下からも人気があるが、色恋云々とは少し違うと云うか…嗚呼そうじゃ、お主の兄貴を考えてみい。彼奴なぞ毎年山の様に貰っておったがの、中也とはタイプが違うじゃろう。」
お兄ちゃん………ああ、成る程。
『慥かに………』
紅「じゃろう?だからの、そんなに心配せんでも大丈夫じゃ。」
『はい。………て云うか、姐さんまでお兄ちゃんの事ご存知なんですね。』
紅「鷗外殿から聞いたのじゃ。中々驚かされたのう。」
『其れ、中原さんに伝わらない様に出来ませんか?お兄ちゃんと、かなり仲悪かったらしいですし……』
紅「良いぞ。まぁ、じきにすぐ暴露ると思うがの。」
『うぅ………』
お兄ちゃんに罪は無いけど、太宰治の妹だからって理由で敬遠されたら………やだなぁ。
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あぽー - すみれさん» ありがとうございます!そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります^ ^ (2018年1月18日 1時) (レス) id: d7427a48c9 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ(プロフ) - 凄く面白いです!続き楽しみにしてます!! (2018年1月13日 22時) (レス) id: 376cb507e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あぽー | 作成日時:2018年1月2日 1時