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「あなたに関係ないでしょ」
雨が傘を叩く音に紛れる様に吐き出した言葉に、彼が息を止めた気がした。私の家の電気がついていて、それが一体恋人でもない人間に何の関係があるのだ。私が遠慮をするのは好きな人相手にだけだ。
だから、もうこの人に気を遣う必要はない。確かにお兄ちゃんの話を聞いてくれたのは、有り難かった。だけど私の見せた隙に遠慮なく入り込もうとするその目を私は恐ろしいと思った。
夏が終わって頻繁になり始めた呼び出しを断らなかったのは、まだそれが常軌を逸してはいなかったからだ。だけど先週は月曜日の授業後に捕まり、木曜日の朝に呼び出された、その度に体に触れられそうになっては人目のある場所へ逃げた。そこに土曜の待ち伏せがあって、とうとう部屋の灯りを気にしはじめた。もううんざりだ。
「お兄ちゃんの話を聞いてくれたことは嬉しかったよ。だけど、それでもう一回付き合いたいって言われても困るって何回も言ったよね。家の前に来るのも、もうやめてほしい」
「は？なにそれ」
「迷惑なの」
吐き出した瞬間、頬に痛みが走った。傘を手放しそうになったけれど、縋るように握りしめる。彼は私のことをただ見下ろしていた。
大した痛みでなかったことを思うと手加減してくれていたのかもしれないけれど、それでも動揺が生まれる。頬を抑えたまま彼を見上げた。「分かった帰るわ」表情らしい表情もないままに踵を返して学校への道を戻るかつての恋人の後ろ姿を一瞥すると、私はマンションのエントランスに駆け込んだ。
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taka10(プロフ) - 少しずつ変化していくふたりの心情に、胸が締め付けられます…… 折り返し過ぎてしまって、どんな結末を迎えるのか楽しみでもあり、不安でもあり、そしてやはり終わってほしくない、ずっと見ていたい気持ちもあります… 無理なさらず更新頑張ってください。 (2月25日 8時) (
レス) id: fe4fec6c9e (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ(プロフ) - taka10さん» コメントありがとうございます。いつか別れが来るとわかっていながら、距離を近づけていくことを意識しているのでそう言っていただけてとても嬉しいです！まだ半分程度ではありますが、完結までご一緒いただけると幸いです。 (2月4日 22時) (レス) id: 05a7068e83 (このIDを非表示/違反報告)
taka10(プロフ) - 丁寧な距離感の描写がとても素敵です。もどかしいような、じれったいような、でも終わってほしくないという矛盾した気持ちになりながら読ませていただいています。 (2月4日 16時) (レス) id: fe4fec6c9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やなぎ | 作成日時：2024年2月3日 13時
