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眼科に行ってコンタクトを買ってきた帰り道、何となくコンビニに寄った。甘いものが食べたくなってしまったのだ。棚に並ぶ新商品は時期が時期だからか種類も多く、華やかだ。その中から二種類のロールケーキを手に取ると、レジに並ぶ。
店内にかかるクリスマスソング、ケーキやチキンの予約票やポスターが視界に入るが、クリスマスの訪れを知らせるのは何もコンビニだけではない。大学の食堂には地味なツリーが置かれているし、恋人のいる友達は心なしか浮足立っている。そうでなくともぼっち会と称した合コンじみた飲み会の誘いが飛び交い、今日はとうとう私にも声がかかってしまった。
「結局さ、坂木くんとよりを戻したわけじゃないんでしょ？」
教室の隅で今日も読書に没頭する人物をちらりと見て、私は「そうだけど･･････」と言葉を濁す。気が乗らないのだ。寒いし。お酒は苦手だし。知らない男の子たちと飲んだって何も面白くないし。大体がなんらかの自慢話だし。
そう思ってしまう時点で私は大学生らしくはないのかもしれない。だけどあの手この手で頼み込まれてしまっては、頷かざるを得ない。ここにきて人数がどうしても一人足りなくなってしまったというのなら、数合わせくらいにはなっておくのも友人としての義務だろう。友人は手を叩いて喜んでくれたが、今から気が重い。
しかもよりによってクリスマスイブに予約をしてあるというのだ。「男女でプレゼント交換もあるからね」と言われて益々うんざりする。知らない男の子にプレゼントを選ぶ時間を作るくらいなら私はどうぶつ達に果物を送りたい。
コンビニ袋をぶら下げて、ため息を吐きながらマンションまでの道を行く。２４日の夜は家にいないことをスマイルさんにも言っておかなければと考えるけれど、直前まで言わなくてもいいか、という結論に落ち着いて、寒さに体を震わせながら足を速めた。
陽の落ち始めた冬の夕暮れは痛いくらいに静かだ。それでもマンションの四階にある灯りを目にして、私はマフラーの下で自分の表情が緩むのを、確かに感じている。
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taka10(プロフ) - 少しずつ変化していくふたりの心情に、胸が締め付けられます…… 折り返し過ぎてしまって、どんな結末を迎えるのか楽しみでもあり、不安でもあり、そしてやはり終わってほしくない、ずっと見ていたい気持ちもあります… 無理なさらず更新頑張ってください。 (2月25日 8時) (
レス) id: fe4fec6c9e (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ(プロフ) - taka10さん» コメントありがとうございます。いつか別れが来るとわかっていながら、距離を近づけていくことを意識しているのでそう言っていただけてとても嬉しいです！まだ半分程度ではありますが、完結までご一緒いただけると幸いです。 (2月4日 22時) (レス) id: 05a7068e83 (このIDを非表示/違反報告)
taka10(プロフ) - 丁寧な距離感の描写がとても素敵です。もどかしいような、じれったいような、でも終わってほしくないという矛盾した気持ちになりながら読ませていただいています。 (2月4日 16時) (レス) id: fe4fec6c9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やなぎ | 作成日時：2024年2月3日 13時
