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デートの後、彼が送ってくれたマンションの前で、偶々仕事帰りの兄と出くわした。私から彼の話を聞いていた兄は、思うところがあったにも関わらずそれを表面には出さずに彼に挨拶をしてくれたけれど、彼はそうはしなかった。
敵対心をむき出しにした目だと、身内に向けられて初めて気が付いた。口では平生を装いながら、その日彼からかかってきた電話は感情的だった。
「わかるんだよね、俺、お前の兄貴が俺のこと嫌ってるって。昔からそういうの、敏感だから。ねえ、家出たら？一緒にアパート借りて住もうよ。いつかは兄離れしなきゃでしょ」
「え、でも、実家だしそれにお金だって･･････」
「正直、いい年して異性の兄妹と二人暮らしって気持ち悪いよ」
兄がたった一人の家族だと彼だけは知っていた。なのに、そういうことが言い放てる彼が、私は初めて異質な存在に思えたのだった。
別れたいと告げたとき、彼は随分と憤慨した。良くしてやったのに、口を開けばそう言った。学校の友達も、彼の言い分だけを聞いて私と距離を置いた人もいる。それでも私はもう無理だと言い続けた。
二人で会うことを徹底的に避け、待ち伏せをされては回り道をして帰る私に、周囲の方が彼を宥めはじめる様になったのはいつからだったか。
寒くなり始める頃、彼はどうやら他に相手を見つけたらしい。「もういい」という短いメールが届いた。
彼が新しく付き合った相手はバイト先の高校生だと噂で聞いたが、どうだってよかった。
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taka10(プロフ) - 少しずつ変化していくふたりの心情に、胸が締め付けられます…… 折り返し過ぎてしまって、どんな結末を迎えるのか楽しみでもあり、不安でもあり、そしてやはり終わってほしくない、ずっと見ていたい気持ちもあります… 無理なさらず更新頑張ってください。 (2月25日 8時) (
レス) id: fe4fec6c9e (このIDを非表示/違反報告)
やなぎ(プロフ) - taka10さん» コメントありがとうございます。いつか別れが来るとわかっていながら、距離を近づけていくことを意識しているのでそう言っていただけてとても嬉しいです！まだ半分程度ではありますが、完結までご一緒いただけると幸いです。 (2月4日 22時) (レス) id: 05a7068e83 (このIDを非表示/違反報告)
taka10(プロフ) - 丁寧な距離感の描写がとても素敵です。もどかしいような、じれったいような、でも終わってほしくないという矛盾した気持ちになりながら読ませていただいています。 (2月4日 16時) (レス) id: fe4fec6c9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やなぎ | 作成日時：2024年2月3日 13時
