【WT】さよならを後ろから数える【sm】 (ページ33)

今日:22 hit、昨日:6 hit、合計:9,914 hit

eighth day ページ33

炬燵が気に入ったのか、スマイルさんは夕食の後もお兄ちゃんの部屋に籠らずに、リビングで読書をするようになった。リビングのすぐ隣に面した私の部屋から座布団を持ってきてスマイルさんの定位置に置いておいたのも功を奏したらしい。安い粉のコーヒーをお供に課題をこなす私と、本のページを捲るだけのスマイルさんに会話らしい会話はないが、不思議なことに、私は安心感すら感じていた。

はぁ、と息を吐いた私に、スマイルさんが視線をあげる。

「どうした？」

「課題が終わりました〜」

「ああ、お疲れ様」

伸びをして凝り固まった肩を労わる。終わった課題をさっさと片付けて、広くなった炬燵テーブルに頬をつけた。根を詰め過ぎて無意識のうちにしていた正座を崩そうとして、自分の足がすっかり痺れてしまっていることに気が付く。痺れの部分を摩りながらもう一度感慨故のため息を吐き出すと、私の後頭部の先でスマイルさんが小さく笑みを漏らした音がした。顎をついて彼の方を見るも、伏せられた目は既に活字を追っている。

･→←･