【WT】さよならを後ろから数える【sm】 (ページ4)

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「妹にストーブの灯油をいれてやってほしい」

言うに事欠いてそれかよ。薄く微笑んだまま頷いた俺に、Aは何を思ったのか、「あ、それだけじゃなくてだな」と確認してきてほしいリストと書かれた手作りの冊子を渡してきた。
俺が小馬鹿にしたことを察していないのだろう。チャート式になってるそれをちらりと見る。「彼氏ができていたら→①家族構成を確認②人となりを確認③借金の有無はないか④交友関係を確認⑤･･････」いくつまで続くのか確認する気も起きない。

「期間は一カ月。妹が信じないようだったらこれを見せてくれればいいから」

「はぁ、手紙」

「中身は読むなよ」

「読むわけないだろ」

つい先ほどまで憔悴しきっていたはずのAが俺の肩を叩く。俺はこっそりため息を吐きながら、Aに渡された手紙と手作りの冊子を見つめた。まさか寝不足の原因がこれ作るためだったりしないだろうな。

冊子の方は置いていこうと誓いながら、印字が入った色気のない封筒の方に目線を落とす。「まあ大丈夫だとは思うが」肩に置かれた手に力が込められたような気がして、Aの方に視線を戻した。

「妹に手を出すなよ」

人に面倒事を押し付けておきながらどの口が言うのかと思わないでもないが、帽子の下から覗いたその黒い双眸は、ほとんど笑っていなかった。