fourth day ページ21
「私、平日は日中いないので」
「ん？」
昨夜の夕食時、普段食事中はほとんど話しかけてこない彼女は口の中のものを呑み込んでから俺にそう告げた。平日。と彼女の言葉を反芻すると、分かりやすく彼女は眉を寄せる。
「月曜日から金曜日は授業があるんです。カレンダー見てください、ほら、あの黒い数字が平日」
「いや、べつに平日の説明をしてほしい訳じゃ」
「あっ待ってこれ先月のだった！まだ破いてなかった」
「･･････」
食事中だというのに関係なく立ちあがったAの妹は、冷蔵庫の横の壁に貼り付けてあった紙を勢いよく破り去った。大きな文字で１２月と書いてある。
「土曜日と日曜日は休みですけど、私、平日は学校がありますので日中は大体いません」
「なるほど」
頷きながら、Aが期間として提示した一カ月について考える。この家に来て既に三日が経ったが、Aが心配していた彼女は俺がいなくとも上手く生活できている。
俺が助けたことといえば、廊下の電球を取り外してやったことだけだ。あとで替えが家にあったのを知ったときは、頼んでくれればよかったのにと思ったが、椅子でも持ってきたのだろう。横着しなければあれくらいは彼女一人でもできるのだ。
俺ははあまり必要なかったんじゃないかな。A。そう思いながら味噌汁を飲んでいると、Aの妹は「スマイルさん」と再び俺を呼んだ。
「明日、私授業は午前だけですので、午後から買い物に行きましょう」
何か重たいものでも買う予定があるのだろうか。俺は特に深く聞かずに、手伝いが必要ならと彼女の提案に頷いたのだった。
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作者名：やなぎ | 作成日時：2024年1月21日 12時
