【WT】さよならを後ろから数える【sm】 (ページ17)

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third day ページ17

スマイルさんは本当に口数が少ない。というかそもそも、必要最低限の会話しかしようとしない。昨日だって、掃除があらかた片付いた午後、夕飯の買い出しに行ってくると声をかけても部屋に籠ったまま返事もしてくれなかった。頑張って作った夕食も感想もないまま無言で呑み込み、「ごちそうさまでした」とだけ告げるといつものように「何かあったら呼んでくれ」とだけ言い残し兄の部屋に戻る。柔和な笑みで誤魔化しているけれど、きっと居心地が悪くて仕方がないんだ。そう思ったら、朝から胃の奥がずんと痛かった。

日曜日の今朝はすっきりとした青空が広がっていた。朝食を作る前に洗濯をした方がいいかもしれない。昨日はあまり天気が良くなかったし、掃除の方に時間を取られていたから、これがスマイルさんが来てから初めての洗濯だ。一人のときは二日に一度でよかった洗濯も、スマイルさんがいる以上は毎日回さなくてはいけないかもしれない。家事が増えたことに頭を痛める。お兄ちゃん相手だったら分担できた家事も、さすがにお客様に強要することは出来ない。

ネットにいれるものとその必要がないものに分けて、ぽいぽいと洗濯機に洗濯物を放り込みながら、私はふと手を止めた。私の着た服や下着しかないことに気が付いたのだ。そうだ、彼は洗濯物を出してない。言っていなかったのだから当たり前だ。水道を使った事を報告するくらいだ。洗濯物は手洗いするつもりかもしれない。かと言って、彼が洗濯をしている様子はない。少し悩んだけれど、私は彼に声をかけることにした。

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