嘘つきな君へ 13 ページ23
―数年後・春―
今年もまた、僕は1人でこの桜の木の下に立つ…
SD「桜、綺麗だよAちゃん…」
満開に咲いた桜の花びらが暖かい風にのってヒラヒラと舞い落ちていく…
SD「今年も…忘れられなかったよ…」
君は僕に言ったよね、人間はどんなに辛くて悲しい記憶も
時が経てばいつかは忘れてしまうって、
どんなに大切な思い出さえも忘れてしまう生き物なんだって、
……一緒に、桜を見ようねって……君がそう言ったのに…
SD「……」
なのになんで、今僕は1人で桜を見てるんだ?
なんで君との思い出を忘れられなくて、君との記憶ばかり思い出すんだ?
…君が言った事は…何もかも嘘ばっかりじゃないか…
SD「本当…嘘つきだね…」
僕はそうつぶやいた後、桜を見上げ眩しい太陽に目を細めながら
ポケットから一枚の手紙を取り出した。
それはあの日、君がくれた手紙…
おもむろに取り出した手紙を広げてみると、
真っ白なその紙には中央に一行文字が並べてあるだけ…
―サンドゥルへ…大好きです―
あっさりした君の性格を現していて、自然と笑みがこぼれてくる…
君には出会った時から嘘ばかりつかれていたけど、
この想いは…信じてもいいよね…?
君の言葉を信じて…僕も天国に手紙を送ります……
―嘘つきな君へ…僕も大好きです―
―ＥＮＤ―
続く (更新停止中)
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作者名：のん | 作成日時：2017年4月14日 12時
