嘘つきな君へ 11 ページ21
年が明け、寒い日が続いていたある日の事。
病室に入るとめずらしくベッドの上じゃなく
車椅子に座って窓の外を眺めていたAちゃん
「あ、サンドゥル」
僕に気づき、笑顔で振り向いてくれる
SD「Aちゃん大丈夫なの?
ベッドに寝てなくても…」
「うん、今日は気分いいから」
SD「そうなんだ」
「それに…サンドゥルと一緒に
行きたい所があって…」
SD「行きたい所…?」
珍しくそんな事を言い出すからどこに行きたいのかと思ったら
桜の木がある中庭に行きたいらしく、
だけどまだ地面には雪が積もってるし外は凄く寒いから…なんて
何度言っても意思を曲げる気配は無くて、
僕は渋々Aちゃんの車椅子を押して中庭へと向かった
SD「…寒くない?」
「うん」
天気は晴れていて穏やかだけど、吸い込む空気はまだ冷たくて2人の吐く息も白い…
SD「Aちゃん、これしてて」
そう言って僕は自分の首に巻いていたマフラーをAちゃんの首に巻いた
「暖かい…ありがとう」
歩くたびに吐き出される白い息が僕たちを包み込んで寒さをより際立たせる…
SD「ここでいい?」
「うん…」
桜の木の下まで行って車椅子を止めると
まだ雪に埋もれてるその木を愛しそうに眺めるAちゃん
「キラキラして綺麗…」
そうAちゃんが言った通り、
溶け出した雪の雫が太陽の日に当たってキラキラしてる
SD「本当…綺麗だね…」
「でもね、桜が咲くともっと綺麗なんだよ」
SD「そうなんだ」
「桜が咲くまで後どれくらいかな…
早く春にならないかな」
SD「きっとすぐ暖かくなるよ」
「サンドゥルと一緒に桜見たいな…」
SD「絶対一緒に見よう、
今年は一緒に見るって約束したじゃん！」
念を押す様にそう言った僕の言葉に
「そうだね」って微笑んだAちゃんがとても綺麗で、
僕はふいに涙が出そうになってしまった…
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作者名：のん | 作成日時：2017年4月14日 12時
