嘘つきな君へ 2 ページ12
君と初めて出会ったのは、確か夏も終わりかけの時期だった…
「あの…すみません…」
SD「ん?」
ずっと膝の調子が悪かった僕がカムバックが終わったのと同時に手術を決意して入院していた時、
病室にじっとしていられなくて病院内を歩いて居ると1人の女の子に声をかけられたんだ
「あの…第二病棟まで行きたいんですけど…
案内してもらえませんか?」
SD「え、あぁ…」
最初はただ道に迷ったのかな?なんて思ってたけど、
目線の合わない君の瞳を見てすぐに分かった、この子は…目が見えないんだって…
SD「えぇっと…じゃあ、こっちです…」
少し戸惑いながらも君の手を取って歩き出した僕、
だけどほんの少し歩いた所で突然後ろから叫ぶような声が聞こえて来て立ち止まった
“「Aちゃんっ!!!」”
その声に驚いて後ろを振り向くと、早足でこっちへ向かってくる看護婦さんが…
「ヤバっ…」
そう言うと、さっきまで隣に居たのに焦った様子で僕の背中に隠れたその子。
どうやらこの子がAちゃんっていう子らしい…
必死で僕の背中に隠れてるけどそんなんで隠れられるわけもなく
看護婦「こらっ、どこ行くつもり!?
薬の時間は部屋にいなさいって
いつも言ってるでしょ」
そう言いながら僕の後ろに隠れてる子に怒り出す看護婦さん。
真正面で怒鳴るから何だか僕まで一緒に怒られている気分だ
「だってぇ…あの薬苦いんだもん」
看護婦「苦くても飲まなきゃ治らないでしょ」
「あっ、ねぇ!!もしかして髪の毛切った!?
可愛い!!凄く似合ってるよ!!」
看護婦「おだてても薬は減りません」
「ちぇー…ケチ」
僕の体を挟んで繰り広げられる2人の会話。
その会話を最初は普通に聞いていたけど、徐々に違和感を感じ始めた
SD「え?…君…目見えてるの?」
まだ半信半疑な僕がそう聞くと“しまった”って顔をする君
看護婦「こらっ、また目が見えないフリしたの!?
そういう事しちゃダメだって言ったでしょ!!
止めなさいって言ってるのにっ」
SD「…見えない…フリ…?」
「あーぁ…バレちゃった…」
“つまんない”とでも言いたげな顔をしているのを見て、
正直僕は君の事を軽蔑してたんだ…
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作者名：のん | 作成日時：2017年4月14日 12時
