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彼女の隣だと僕は何故か笑えた。泣く事ができた。驚くこと、苛立つこと。人として生きることができたのだ。それが感情が分からなくなりそうになってた僕をどれだけ救ってくれたのだろう。
今日はいつもよりも食堂に早くついた。目玉焼きとベーコン、コーンスープにサラダとクロワッサンが二個。相変わらず食欲はない僕は昨日と同じように一二一という番号がかけられた彼女の分の食事をとり、自分の分はクロワッサンだけを取った。一度部屋に戻って、各部屋に設けられている冷凍庫に入れて保存しておこう。
部屋になるなり彼女は感嘆の声をあげた。コロンとした鈴が、たずねる。
「もしかしてコーンスープ？」
「よく分かったね」
「前、言ったじゃない。大好きなのって」
「うん、覚えてるよ」
そう僕が答えれば彼女は嬉しそうに微笑んだ。
僕が椅子に腰をかけて、コーンスープを彼女の口に運べば嬉しそうにそれに口をつけた。そして今日のはとても温かいのねと微笑む。彼女は嬉しいのか、声はいつも以上に弾んでいる。それに、僕は心がどことなく温かくなるような不思議な感覚を感じながら、そうだね、と頷いた。
彼女が丁度運んできた食事を半分食べ終わったころだ。何を思ったか彼女は、僕にコーンスープを少し入れたスプーンを持たせて欲しいと頼んできた。どういうことか理解できなかったが、とりあえず少量スープをスプーンの中に入れて彼女に零さないように渡す。それに彼女はありがとうと受け取り、間もなくしてそっと僕にそれを差し出す。
「雪花、あーん」
「……」
僕は戸惑った。彼女が心配してくれているということは分かった。それがたまらなく嬉しい。けれどそれ以上に体が、目の前にある物を拒絶しているようにも思える。僕がうつむいて間もなく彼女は困ったような表情を浮かべる。
「やっぱり難しい？」
僕はそれに黙る。彼女を困らせることだけはしたくなくなった。それだけじゃない、悲しませることもしたくない。
僕は、目をきつく結びスプーンに口を運んだ。彼女はそっと口の中に流し込んでくれる。とろっとした甘いものが口の中に広がりそれだけで、気持ち悪くなった。誤魔化すように僕は飲み込んだ。喉に絡みつくような感覚が気持ち悪くて、思わず吐き出しそうになるのを必死に両手で押さえ込む。かすかに僕が声を漏らせば彼女はそんな僕の異変に気付いたらしく、さぁと顔を青くさせて僕の膝の上に手を置いた。
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自由気ままに生きる難聴の音霧想(プロフ) - 少女Ｒさん» コメントありがとうございます！ 時間をもう少しかけて仕上げたかったなぁ……と今更ながら思います。そう思っていただけたなら大変光栄です。 (2017年5月14日 13時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
少女Ｒ(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く面白かったです！少ない話数なのにとても感動しました！ (2017年5月14日 9時) (レス) id: ff2027e67d (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - うさぎ@りんご飴さん» わぁ……改行少ない小説苦手だというのに目を通していただきありがとうございます。いえいえ、感想いただけただけで満足です。本当にありがとうございました。 (2017年1月8日 14時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ@りんご飴(プロフ) - 音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）さん» いえ、あれは個人的な意見ですのでお気になさらず！ 私は改行が少ない作品が苦手なのですが、全く気にならずに読む事が出来ました。その点を強調して書きたかったのですが、上手く伝えられず申し訳ありません(汗) お忙しい中、わざわざ返信頂きありがとうございます！ (2017年1月8日 14時) (レス) id: 358807b83b (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - うさぎ@りんご飴さん» 評価ありがとうございました。私は改行が多い作品は横読みでも縦読みでも苦手なんです。内容が薄くなってしまう気がするんですね。なので改行に関してはこのままでいかしてもらいます。ほかの点は褒めていただき光栄でした。ありがとうございます。 (2017年1月8日 14時) (レス) id: 7d8ba4b3f5 (このIDを非表示/違反報告)
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