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「……雪花、雪花」
僕は聞き覚えのある声に、僕は重い瞼を開ける。いつの間にか、気を失うように眠っていたらしかった。開かない瞼を手の甲で拭い、僕は顔をあげる。すると不安そうな彼女がじっと僕のほうを向いていた。
「雪……？」
「雪花、大丈夫？ 苦しそう」
肌は相変わらず白い。けれどいつも通りの彼女に僕はほっと肩を撫で下ろした。それと同時に視界が滲んでいくのが分かる。僕は必死にそれを誤魔化して、大丈夫だよと笑ってみせた。だけど僕のその声はかすかに震えていて、彼女はそれに眉を下げる。
ああ、だめだ。やっぱり僕じゃ君を幸せなんかにできないよ。その現実だけが胸を抉った。
彼女は、長い時間黙っていた。僕も喋ることなんてなくて、ただ口を結んでいるしかない。下をうつむいていると、彼女が意を決したように僕の頬をそっと撫でる。
「雪花、お願いがあるの」
「……私の管を全部切って」
△
それは彼女の命をつなぐ管を切ること。それを意味していた。だけど彼女は、悲しそうに呟く。
『もう世界は終わるの。だったら、せめて最期くらい外に連れて行って』だから僕は彼女に繋がった管を全て切り落とししていく。そのたびに彼女を殺しているように思えて、胸が張り裂けそうなほど痛んだ。彼女は、ごめんねという単語を何度も、何度も呟いた。決して君のせいじゃないというのに。僕が弱いせいだっていうのに。
全ての管を切り終えて、僕は彼女を背負った。彼女は僕が思っていた以上に軽く、これが彼女の命の重さなのだろうかと考えると今すぐにでも泣き出しそうになる。彼女は、僕があげたアリスブルーのブランケットを羽織って、オルゴールを手に持って僕の首にしがみつく。その腕があまりに細く、折れてしまうんじゃないかと心配になった。けれど彼女はそんな僕の心配をよそにはやくはやくとせかすものだから、僕は仕方なく外に出た。
体験したことのない凍る温度に僕らは溜まらず身震いする。それと同時に、本当に世界が終わってしまうんだと分かった。彼女は寒いといいつつも、僕にしっかりとしがみつく。帰る気はないらしい。僕は、彼女を背負いながら適当な方向へと歩き始める。
空に踊る星たちは僕が今まで見てきた星空の中でも一番綺麗だった。湿気がないせいか、冷たい澄んだ空気がそれらを美しく見せてるんだと思う。
「雪、星空きれいだよ」
「ほんと？」
僕がそう言うと彼女は嬉しそうに笑った。それに釣られるかのように僕も笑う。
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自由気ままに生きる難聴の音霧想(プロフ) - 少女Ｒさん» コメントありがとうございます！ 時間をもう少しかけて仕上げたかったなぁ……と今更ながら思います。そう思っていただけたなら大変光栄です。 (2017年5月14日 13時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
少女Ｒ(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く面白かったです！少ない話数なのにとても感動しました！ (2017年5月14日 9時) (レス) id: ff2027e67d (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - うさぎ@りんご飴さん» わぁ……改行少ない小説苦手だというのに目を通していただきありがとうございます。いえいえ、感想いただけただけで満足です。本当にありがとうございました。 (2017年1月8日 14時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ@りんご飴(プロフ) - 音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）さん» いえ、あれは個人的な意見ですのでお気になさらず！ 私は改行が少ない作品が苦手なのですが、全く気にならずに読む事が出来ました。その点を強調して書きたかったのですが、上手く伝えられず申し訳ありません(汗) お忙しい中、わざわざ返信頂きありがとうございます！ (2017年1月8日 14時) (レス) id: 358807b83b (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - うさぎ@りんご飴さん» 評価ありがとうございました。私は改行が多い作品は横読みでも縦読みでも苦手なんです。内容が薄くなってしまう気がするんですね。なので改行に関してはこのままでいかしてもらいます。ほかの点は褒めていただき光栄でした。ありがとうございます。 (2017年1月8日 14時) (レス) id: 7d8ba4b3f5 (このIDを非表示/違反報告)
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