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眠る彼女を残し、僕は自室に向かうべく廊下を渡っていた。あのまま部屋にいれば彼女を起こしてしまいそうな気がして気がひけたのである。
そこではたと気付いたのだが、世界が凍り始めていたのだ。それは窓が凍っていることに気づいたことがきっかけだった。透明な窓ガラスは、白いペンキで塗りつぶしたみたいに何も見えないくらいに凍っている。僕は手をそっと窓ガラスに押し当てた。窓は皮膚がはりつくくらいにきんと冷たくて、窓が氷でできているんじゃないかと錯覚してしまう。しばらくして手の体温で周辺の氷が徐々に解けはじめた。なんとか外を覗ける程度になり、僕はそこからじっと外を見つめて驚いた。
道路や建物は真っ白に凍っている。そんな白色に統一された世界、唯一澄み渡った空には黒に似た紺色の夜空と満点の星が広がっていた。それに僕は息を止め、慌てて自室に戻り防寒具を棚から引っ張り出す。何か、ひとつの箱が防寒具と一緒に紛れて出てきたが僕はそれを気に止めることもなく、外に出た。
星空は、窓から覗くよりもずっと綺麗で思わず僕はため息を零す。ただただ、きれいだった。これが永久に広がっているのだとすれば、それがどれだけ美しく恐ろしいことなのだと僕は目を細める。何故だろうか、そんな星空たちは僕らの世界を大きな口を広げ飲み込もうとしている、そんな生物に見えた。もしそうだとしたら、その生物のために死んでも僕は悔いはないだろう。
「は、ははは……」
そのとき、ふと僕は実感した。本当に、本当に世界が終わるのだと。そっか、そっか、人が唯一平等になる瞬間か。皆、死ぬんだ。
僕のその笑い声は、それに対しての安心感か、絶望感か。僕には到底理解できなかった。だけどどうか安心感であって欲しいと内心祈る。最期まで、最期まで、僕でいさせて欲しかったのだ。
部屋に戻ると、僕が床に転がった箱がオルゴールだということに気付いた。僕はそっと拾い上げる。なじんだ感触が心地良い。ねじの金色は朽ち果て、どこか錆びている。本体の箱も、ところどころかけており長い月日が経過したのが分かった。何年も長い間放置していたせいで動くかは定かではなかったが、僕はそっとオルゴールのねじを巻きふたをあけた。すると箱の中にあるガラスのバレリーナが回りだした。ああ、そういえばこんなものもあったっけ。
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自由気ままに生きる難聴の音霧想(プロフ) - 少女Ｒさん» コメントありがとうございます！ 時間をもう少しかけて仕上げたかったなぁ……と今更ながら思います。そう思っていただけたなら大変光栄です。 (2017年5月14日 13時) (
レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
少女Ｒ(プロフ) - 完結おめでとうございます。凄く面白かったです！少ない話数なのにとても感動しました！ (2017年5月14日 9時) (レス) id: ff2027e67d (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - うさぎ@りんご飴さん» わぁ……改行少ない小説苦手だというのに目を通していただきありがとうございます。いえいえ、感想いただけただけで満足です。本当にありがとうございました。 (2017年1月8日 14時) (レス) id: 6c125bcd13 (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ@りんご飴(プロフ) - 音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）さん» いえ、あれは個人的な意見ですのでお気になさらず！ 私は改行が少ない作品が苦手なのですが、全く気にならずに読む事が出来ました。その点を強調して書きたかったのですが、上手く伝えられず申し訳ありません(汗) お忙しい中、わざわざ返信頂きありがとうございます！ (2017年1月8日 14時) (レス) id: 358807b83b (このIDを非表示/違反報告)
音霧想@悪魔崇拝してる人（会話はできます）(プロフ) - うさぎ@りんご飴さん» 評価ありがとうございました。私は改行が多い作品は横読みでも縦読みでも苦手なんです。内容が薄くなってしまう気がするんですね。なので改行に関してはこのままでいかしてもらいます。ほかの点は褒めていただき光栄でした。ありがとうございます。 (2017年1月8日 14時) (レス) id: 7d8ba4b3f5 (このIDを非表示/違反報告)
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