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151 提案 ページ1

でも、そんなことは気にならなくて。


「麗ちゃん! それ、すっごく良い"夢"だね!」


カケルンに感激され、
少し照れた様子の麗ちゃんでさえ
かっこよく見えた。

それはもう、かっこよく。

確かに、アイドルを始めてまだ一年。
今の状態で直接的な行動に移すのは、
すごく難しいことだと思う。

第一、まだ現役の高校生だし。

でも、麗ちゃんの目は真剣そのものだった。
なんか良い考え、無いかな……。


「そうだ!」


そう思っていると、一足先に、
カケルンが何かを思いついたように
声を上げた。


「俺んち製造会社だから、麗ちゃんと協力して、貧しい国の人とかに支援したいなぁ」


どうっ?! と一歩前に踏み出るカケルンを前に、麗ちゃんは嬉しそうに、けれどカケルンの押しに負けたように苦笑いを浮かべた。

そして、申し訳なさそうに口を開いて。


「翔琉。すごくいいアイデアだけど、
まだ規模が大きいかな」

「そっかぁ……。そうだよねぇ」


カケルンはガクッと肩を落とすと、
再び考えるようにして黙り込んだ。

そんな間にも、私はいいアイデアはないかと
考えていたけど……なかなか思いつかなくて。




「新しい夢……か」


結局、何もいい提案が出来ず、柊太と二人きりになった部屋でぽつりと呟いた。

麗ちゃんの夢の話だったのに、
話は大きくずれ込んで、
曖昧なまま終わってしまった。

そして、あれからかれこれ数十分の雑談を終えたのち、麗ちゃんとカケルンは自室に戻ってしまったのだ。

麗ちゃんに良い提案ができなくて、
なんとなく後味が悪い。

そんなことを思いつつ、
私はベッドの上で寝返りを打つと、
柊太の方へと体を向けた。


「麗ちゃんの夢、すごかったね」

「だな」


あぁ、なんか、なんか、


「ぬあああああ!!」


ムシャクシャするっ!

相変わらず、物静かに読書をする柊太をじっと見つめながら、私は心の中に溢れる言葉を爆発させた。


「うっさ……。どうしたんだよ」

「だって! 全然良いアイデア思いつかないんだもん」

「はぁ」


柊太のため息を聞き届けてから、
私はごろんと仰向けになった。

うーん。うーん……。


「……施設」

「え?」

「施設行く? つか行こう」

「え」


今、私の耳には柊太の思いがけないアイデアが降り注いできました。

152 心揺さぶる→



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流華 - ネクロさん» 最後まで読んでくださってありがとうございます!!今思うと無理矢理な展開とか多いですけどそう言ってもらえて嬉しいです涙 機会があったらまた何か書きますね! (2021年6月27日 20時) (レス) id: c141522df8 (このIDを非表示/違反報告)
ネクロ - お話最後まで読ませていただきました!皆のツッコミとかちょっとしたラブラブを見てて発狂してますw流華さん素晴らしいお話作ってくれて有難うございます!そしてこれからも頑張ってください! (2021年1月2日 23時) (レス) id: acc1702ca8 (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - アケチさん» わぁーありがとうございます!!更新遅いと思いますが、頑張ります! (2016年4月4日 8時) (レス) id: c04b941378 (このIDを非表示/違反報告)
アケチ(プロフ) - お話読ませていただきましたー!すっごい面白いです!読んでいて楽しいです!これからも更新頑張って下さい!! (2016年4月3日 19時) (レス) id: a044007e0c (このIDを非表示/違反報告)
流華(プロフ) - レイン・ボーさん» 評価、コメント、応援の言葉、本当にありがとうございます!頑張ります!! (2015年7月7日 18時) (レス) id: c04b941378 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者 | 作成日時:2015年7月4日 10時

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