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◇菊乃Side◇
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菊乃「…なんですかその悪趣味」
深澤「悪趣味って(笑)」
乾いた笑い声を出しながら
『まあそう思われても仕方ないか』って言いながらあたしのところまで歩いて戻ってくる深澤さん
突然の出来事に
からかわれてるのか、試されてるのか分からなくて
棒立ちのまま、深澤さんを見つめる
深澤「ごめん、本当は今日言うつもりとか全くなかったんだけど」
見たことないくらい
すっごく優しい表情
深澤「…弱みにつけ込むみたいなことはさ、したくないし」
・・・夢か現実か
嘘か真か、
分からない
何も言えないでいるあたしを見つめたまま
深澤さんは綺麗な指で
ゆっくりとあたしの後れ毛を耳にかけて
そのまま、耳をなぞって
耳たぶをなぞって
顎のラインをふわっと包み込んでから
ゆっくりと指を離した
深澤「ちょっと意識してみて、俺のこと」
動けないままのあたしの緊張を溶かすみたいに微笑むけど
…そんなの逆効果で
冗談じゃないってわかる一つ一つの仕草に、
今まで見たことのない恍惚とした表情に
・・・あまりにも突然の出来事に
びっくりして心臓が飛び出そうだった
深澤「菊ちゃんには大切にしてくれて、そばにいてくれて、いつも笑顔にしてくれる男がいいよ」
こういうこといつもしてるんですかって
冗談っぽく言おうとしたけれど、
それすら言えないくらいの
気持ちがストレートに伝わってきて
素直じゃないあたしの性格ごと
すっぽり包み込んでしまうような
オトナな彼の告白に
夏の星空の下
…上手に呼吸もできないくらい
ドキドキしていた
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作者名：エリ
| 作成日時：2022年6月23日 0時
