◇・*。放課後のシンデレラ２。*・◇ (ページ32)

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◇菊乃Side◇

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菊乃「・・・あの、」

深澤さんに抱きしめられたまま

涙で震える声を抑えるために

ひとつ、息を深く吸う

深澤「どした？」

菊乃「ふっかさんに買ってもらったりんご飴、落としちゃいました・・・」

深澤「いいよぉそんなの(笑)また買ってあげる」

深澤さんがふふって笑うと

あたしの体も一緒に揺れて

それから体が離れて

深澤さんと目が合った

誰もいない夜の商店街には

あたしと深澤さんのふたりだけ

菊乃「・・・なんか言わないんですか」

深澤「言わないよ(笑)」

目を細めて笑った深澤さんの前髪が静かに揺れた

深澤「約束したでしょ、俺んとこ戻ってきたらいっぱい慰めてあげるって」

菊乃「そうだけど・・・」

こんなにこの人の優しさに

…甘えていいのかな

深澤「約束は守るよ、男として」

いつものひょうひょうとした雰囲気ではなく

真剣な表情をしている

菊乃「…やさしいですよね」

深澤「好きな人にはね」

駅の方に向かって歩き始めた深澤さんの背中を見ながら

一瞬、今なにが起きたか分からなくなる

菊乃「…な、」

あれ、ちょっとまって、え、

さっきのは、どういう・・・

深澤さんは、何事もなく歩き続けてるけど

…今の、なに？

もしかして空耳？

混乱したまま

棒立ちで立ってると

深澤「送るよ、女の子が1人で夜道歩いてたら危ないし」

振り返った深澤さんが、

立ち止まったままのあたしを見てクスって笑った

深澤「…もしかして動揺してる？(笑)」

ってことは、

・・・やっぱり空耳じゃない？

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