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◇菊乃Side◇
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待ちに待ったお祭りの日
今日はAがあたしの家に来て、2人で一緒に買った浴衣を着てから
あーでもないこーでもないって準備したりしてたら
あっという間に待ち合わせ時間になっていた
日はまだ沈んでいなくて
涼しい風を感じながら、混み合っている神社の入り口まで2人で歩く
「あっ、海人くんと廉くんいたっ」
Aがテテテ、って小走りに海ちゃんの方に走って行くと
あたし達に気づいた海ちゃんの顔がパッと華やいだ
「お待たせっ」
海人「Aちゃん浴衣すっごく似合ってる！かわいい〜」
「ありがとう…//」
伸びてきた髪の毛をちょろっと後ろでしばって
灰色の甚平を着ている海ちゃんは
Aのことを見て顔をふにゃふにゃ〜ってゆるませた
一緒に選んだAの浴衣は
淡いピンクのベースに
薄紫の花が咲く
Aらしくてカワイイ柄のもの
嬉しそうに微笑み合うAと海ちゃん
海人「菊ちゃんもすごく大人っぽくていいね」
菊乃「ありがと〜」
「素敵だよね？一緒に選んだんだよ」
あたしの浴衣は紺で、たくさんの白い百合の花が描かれてて
Aが『菊ちゃんは絶対これがいいと思う！』って選んでくれたやつ
海人「ほら、廉もなんか言いなよぉ〜」
偶然にも紺色の浴衣を着ている廉
おそろいだ…ってドキドキしちゃって
緊張して、顔をうまく見れない
廉「・・・馬子にも衣装やな」
ぶっきらぼうにそう言った廉は
腕を組んでスタスタと歩き始めた
いつもみたいに冗談めかしたトーンじゃなくて
機嫌が悪い口調が
なんだかショックで
『なによー』っていつものノリで言い返せない
「なんか…すっごい遠回しに褒めてるってことだよね？(笑)」
海人「廉ってば照れ屋さん〜」
仲良しカップルがささやき合うのを
聞こえないフリする廉の背中が
こんなに近いのに
ものすごく遠く感じた
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作者名：エリ
| 作成日時：2022年6月23日 0時
