◇・*。放課後のシンデレラ。*・◇ (ページ26)

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◇菊乃Side◇

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「もう5時過ぎちゃったけど、廉くんそろそろかな？」

菊乃「あたし廉のこと待つから、2人は先帰ってていいよ」

廉はきっと、Aと海人に気を使って

海ちゃんじゃなくあたしに連絡をくれたのだと思うし

・・・もし廉と2人で帰れたらラッキーだし

　

海人「Aちゃん、帰ろっか」

「うん...菊ちゃんほんとに大丈夫？」

菊乃「うん、きっとすぐ戻ってくるし、大丈夫だよ」

海人「じゃあまた明日ね」

Aと海ちゃんが揃って教室を出るのを見届けると、

広い教室で1人になった

　

廉のことを待ちながら

1つだけあいてる窓から流れ込む初夏の風を

めいっぱい吸い込むのは

...廉とふたりきりになる状況に緊張しないため

心を落ち着かせようとしても、ドキドキしてしまう

　

廉「菊乃ぉーーー？」

ガラガラっと教室のドアがあいて

廉が入ってくる

　

いつもはみんながいるのに、今は誰もいない教室で

　

あたしの耳にだけ届く廉の声は

とくべつ透き通ってて、キレイに聞こえる

　

菊乃「遅いっ」

廉に会えて嬉しい気持ちを隠すように

つい、素直じゃない言葉が出てきちゃう

　

廉「3人で公園でアイス食べてしゃべってたらこんな時間になってたわ(笑)」

　

机の上に置きっぱなしの

ほとんど使っていない自分の勉強道具を片付ける廉を横目に

もう一度、バレないように

静かにゆっくり深呼吸をした

　

廉「Aたち、さっき帰った？」

菊乃「うん、ちょうど5分くらい前かな」

　

『一緒に帰ろう』を言うためだけに

...どれだけの勇気が必要なのかと、

自分でも呆れる

　

廉「…あ、なあ」

パッと顔を上げた廉と、予想外に距離が近いことに気づいて

ドキドキ、心臓がうるさい

　

廉「下に岸さんおんねんけどさ、2人で帰ったらどない？」

　

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