◇・*。放課後のシンデレラ。*・◇ (ページ20)

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海人くんが座っている椅子の横にあるもう一つの椅子を

ぽんぽん、ってしたのでわたしはそこに座った

海人くんの目の前には、小さめのキャンバスに描かれた

桜の木の下で楽しそうに踊る男の人がいて、

桜があちこちに舞っている

「すごいっ…これ海人くん？」

海人「そう、Aちゃんも入れようと思ったんだけどね、恥ずかしくてやめた(笑)」

白とピンクの花びらがふんだんに舞っていて、

今にも桜の花びらと同時に

絵の中の海人くんが踊り出しそうだった

中学生の時に見た絵はとても神秘的で、

落ち着くような絵だったけど

これはすごくキラキラしている

「春にぴったりで素敵」

海人「ありがとう、まだ途中なんだけどね」

　

絵をよく見ると、

一見ピンクや白に見える部分には

黄色、緑、ムラサキなどが混ざっていて

わたしはすっかり絵に見入ってしまう

　

海人「今度Aちゃんにプレゼントする絵も描くね」

「ほんと？うれしいっ…、ありがとう」

　

海人「ねえAちゃん、」

絵から目を離すと

わたしをまっすぐ見つめる海人くんと目が合った

　

いつもの笑顔じゃなくて、

真剣な表情にドキドキする

なんだかすごく大人っぽい

…声も、いつもと違うみたいなカンジがする

　

海人「・・・キスしていい？」

「っ...///」

びっくりして息をのむことしかできなくて

顔が真っ赤になるのが自分でもわかる

体が硬直して

うん、って言いたいのに言えない

　

座ったまま海人くんがわたしの手をぎゅっと握った

…そのまま目を閉じると

唇がぎこちなく重なって、

　

わたしの心の奥のほうがトクン、とときめくのが聞こえるみたいな気がした

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