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先輩が
ささっと箱を閉じて、元にあった場所に戻してくれる
「すみません、ありがとうございます」
紫耀「んーん」
すぐ外ではサッカー部も陸上部も部活をしているのに
びっくりするくらい保健室の中は静かで、
たまに聞こえてくる生徒たちの声も
とても遠くのものに聞こえるから、
話すたびに、先輩の声が心臓まで響くような気がして
ドギドキしてしまう
初対面の人と話すのはいつだって緊張するし
まっすぐ目を見つめられて
思わず、恥ずかしくなって目をそらした
「…えっと、では、失礼します、ありがとうございました」
紫耀「ほーい、じゃあね」
わたしが緊張しているのがきっと伝わって
先輩はちょっと面白そうに笑った
ぺこっと勢いよくお辞儀して
救急箱を持ってガラガラと戸をあけて保健室を出る
き、緊張したー・・・
3年生・・・なのかな？
とてもとても大人で、
中学校にはいなかったようなひと
早く元いた場所に戻りたくて、
救急箱を両手で抱きしめてドキドキしながら小走りで校庭まで急ぐ
校舎を出ると、
グラウンドに響き渡るサッカー部の声が聞こえてきてホッとした
グラウンドでは
部員たちがサッカーボールを片付けてるのが見える
いつの間にか委員会に行ってた廉くんも戻ってきていて
なんだか大げさだけど、
グラウンドにいなかった時間だけ
どこかへタイムスリップしてしまったような
不思議な気持ちになった
「レナさん、救急箱見つけましたっ」
レナ「あそれそれ〜よかった、ありがとう！」
レナさんと一緒に救急箱と水筒を片付けながら
…高校ってやっぱり大人の世界みたいだと思った
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作者名：エリ
| 作成日時：2022年5月29日 22時
