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今日は委員会に出なきゃいけない廉くんも菊ちゃんも部活にきていなくて
広いグラウンドがなんだかいつもより寂しい
それでも夕暮れは
うっとりするほどキレイ
空が茜色に染まって
わたあめみたいな薄むらさきの雲がぷかぷか浮いている
グランドから見る空は
いつもよりなんだか広く見えるのが好き
レナ「そうだ、Aちゃん」
「はいっ」
レナ「保健室の場所わかる？サッカー部用の救急箱をとってきてもらいたいんだけど」
『いつもは部室にあるんだけど新学期だけ保健室に取りにいかなきゃいけなくて…』
とレナさんは説明してくれる
「とってきますっ」
レナ「ありがとう〜お願いします」
小走りで校内に戻ると廊下の空気は意外とひんやりしていた
1つだけ壊れた蛍光灯がチカチカと光っている
見慣れた場所なのに
先生や生徒で賑わっていないだけで全然知らない場所みたいな気がした
保健室は廊下の一番奥にあって
遠くから見ても電気が消えているのが分かった
…先生もう帰ったのかな？
一応入ってみようと思い、ドアを開けてみる
「失礼しまーす…」
保健室にちゃんと来るのははじめてで
ちょっと緊張しながらガラガラっと戸をあけた
？「ゆりちゃん？」
電気のついていない保健室で、
誰かが勢いよくこっちに振り向いて
思わずびくっとしてしまった
「えっと…、」
保健委員の人…？
先輩・・・なのかな？
ちょっと目にかかるサラサラの前髪
真っ白な保健室で、
その人の透き通るような茶髪がひときわ目立つ
少しだけあいている窓から風が入り込んできて
外でサラサラと葉っぱが揺れる音が聞こえた
紫耀「せんせー今いないけど…、ケガ？」
夕日に照らされて顔がよく見えないその人のハスキーな声が
誰もいない保健室で静かに響いた
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作者名：エリ
| 作成日時：2022年5月29日 22時
