五話.モガの姉樣 ページ7
午後。
三時からあった配給から帰り、家の掃除をしている私。時間が経つのは、早いようで遅い。
恐らくもうそろそろ、木崎さんが家に来るのだろう。
目の端で。母は髪を結い直しているし、姉はもう身支度を終えて縁側を行ったり来たり。
二人ともソワソワしている。
『ほいじゃ私もそろそろ…』
私はホウキを壁へ立てかけ、三角巾と
『うーん…何にしようかねえ。』
今日は祝儀ではない。あくまで縁談。
顔合わせ 兼 打ち合わせみたいなものだ。
着飾りすぎてもねえ。
かと言って、もんぺは冴えないし。
うーん。
顎に手を添え、考え込んでいると、姉が来て私の肩に手を置いた。
径子「A、どいでや。」
『う、うん』
そして姉は私に代わって
姉は割烹着姿から、縁談に備えて既に着物姿になっていた。
姉は奥の方にしまってあった風呂敷包みを取り出す。
径子「開けてみんさい」
姉は私にそれを差し出した。
私は言われた通りにそれを開く。
するとそこには、薄いピンク色をした、モダンな洋服と、リボンが入っていた。
径子「姉様の※
わたしが若い時に着とった服じゃけ。
『モガだったもんね。お姉ちゃん。』
モダンガール。通称モガ。
洋装して気取っていた、
所謂 ファッション・リーダー。
今じゃ少なくなった。
お姉ちゃんも、子供が出来てからは
もうモガの格好をすることは無い。
時間はない。
姉から貰った服に早速着替え始めた。
『ほ、ほいでも、ええんかねぇ…
こういうんは着物が鉄則じゃなかろうか』
径子「そりゃ、祝儀の時はね。
じゃが、今日はただの縁談じゃけ、これでええんよ。こっちの方が、若くも冴えても見えるわい。」
洋服は着物よりも着やすく、もんぺ なんかよりも見栄えははるかに良かった。
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※
ドレスと表記していますが、
普通のワンピースのことを指します。
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なー(プロフ) - 初めて読ませていただきました。心温まるお話、続きが気になります! (12月14日 16時) (レス) @page27 id: 5a5cf333fe (このIDを非表示/違反報告)
さとみ - はじめまして。楽しみに読ませてもらってます。完結したお話しでも再開するのでしょうか?またお話し読めるのを楽しみにしてます。 (2022年9月30日 14時) (レス) id: 1dc70ba9d0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 最近すごく『この世界の片隅に』にハマっていたんですよ、、ストーリーもキャラクター同士の関係も最高です…更新楽しみにしていますね (2020年7月12日 23時) (レス) id: bc0dbb2048 (このIDを非表示/違反報告)
もえこ(プロフ) - お話が動き始めて本当に嬉しいです!ありがとうございます!これからも頑張ってください! (2020年3月26日 17時) (レス) id: 8b605c37d7 (このIDを非表示/違反報告)
Reika(プロフ) - おかえりなさい^ ^作者さんのペースで更新頑張ってください!読みに行きますね。 (2020年3月15日 23時) (レス) id: 616ea4ec17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杏 | 作成日時:2018年7月22日 11時