三話.強がり ページ4
サン「A」
夕食と風呂を済ませ、台所に立っていた姉に並んで食器の片付けを始めた私。
径子「1杯の コーヒーから」
『モガの姫君 ジャバ娘』
径子「唄は南のセレ…あれ？なんじゃったか。懐かしいけえ、歌詞忘れてしもうたわ…」
姉と※
『お母ちゃん？』
径子「やだあ、お母ちゃん。
寝とらにゃいけんよ、足が悪いんなし。食器の片付けは、うちらがやるけえ」
姉は母を心配し、しっし と手のひらを払う。
母は首を小さく振り、再び私の方を見た。
『ど、どうしたん？』
私は
サン「…わたしゃもう寝るけえね。
片付け径子に任せて、あんたももう寝るんよ。」
『え…なんで？』
母は真剣な顔で続けた。
サン「明日は木崎さんがアンタを見にうちに来るけえ。はよ寝んさい。」
私はそれを聞くなり、
自分の心臓が跳ねるのを感じた。
明日。木崎さんが、私を見に来る。
私の人生が、変わるかもしれない。
未来…近い未来、私の旦那になるかもしれん人。
そう考えるだけで、私は怖くて、
下を俯かざるを得なかった。
『ほうじゃね…』
自分の足に目を落としてそう呟くように返事する。そのせいか、隣にいる姉の声はえらく大きく聞こえた。
径子「明日！？随分と急じゃが」
サン「ほうじゃが、明日嫁入りするわけじゃなし。明日はただの顔合わせじゃけ、気をはらんでもええよ。」
母はそこまで言うと、寝室へ戻ろうとして行った。私は咄嗟に母の腕をつかむ。
『待ってやお母ちゃん。足、痛いじゃろう。うちが寝室まで支えていくけえ。』
サン「ありがとう」
母の腕を支え、寝室へ誘導した。
首だけを後ろに向けて、
私は台所の姉に向かって叫ぶ。
『ほ…ほいじゃ、お姉ちゃん！
うちも今日は、もう寝るけえね！』
径子「はあい。おやすみ」
姉の返事が帰ってきたのを確認し、
母を寝かせた後、私も自分の寝室に入った。
強がりだ。
もう寝るけえ なんて。
私は全然、寝つくことは出来なかった。
─────────────────────
※
1939年(昭和14年)の曲でした。
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なー(プロフ) - 初めて読ませていただきました。心温まるお話、続きが気になります！ (12月14日 16時) (
レス) @page27 id: 5a5cf333fe (このIDを非表示/違反報告)
さとみ - はじめまして。楽しみに読ませてもらってます。完結したお話しでも再開するのでしょうか？またお話し読めるのを楽しみにしてます。 (2022年9月30日 14時) (レス) id: 1dc70ba9d0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 最近すごく『この世界の片隅に』にハマっていたんですよ、、ストーリーもキャラクター同士の関係も最高です…更新楽しみにしていますね (2020年7月12日 23時) (レス) id: bc0dbb2048 (このIDを非表示/違反報告)
もえこ(プロフ) - お話が動き始めて本当に嬉しいです！ありがとうございます！これからも頑張ってください！ (2020年3月26日 17時) (レス) id: 8b605c37d7 (このIDを非表示/違反報告)
Reika(プロフ) - おかえりなさい^ ^作者さんのペースで更新頑張ってください！読みに行きますね。 (2020年3月15日 23時) (レス) id: 616ea4ec17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杏 | 作成日時：2018年7月22日 11時
