ホトケノザ (ページ45)

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43J ささやかページ45

新幹線で思うように寝られなかった俺は

シャワーを浴びて髪をタオルで拭きながら

ベッドにもたれた。

『はぁ…』

自分のため息が思ったより大きくて
びっくりした。

就職も考えたけど
今歩んでいるのは確かに自分で選んだ道。

卒業が目の前に差し迫っている今
俺はこの世界で生き残るしかなくて。

今までやっていろんなこと乗り越えてきたんやし
大丈夫

って自分に言い聞かせる。

テレビをつけると
見覚えのあるバラエティ番組が

クリスマスSP

なんてタイトルのついた企画をやっていて

あーもう。

今日クリスマスやん

とまた気づかされる。

大橋になんかあげるべきやった？
普通のご飯屋さんで食べただけなんやけど？

ロマンチックのかけらもない
なんの計画もしてなかった自分に

落ち込む。

今日感情忙しすぎるわ。

カバンにしまっていたケータイを取り出して
枕元の電源につなげて充電をする

画面にあるアイコンをタップして

『起きてる？』

送ると

すぐに既読がつく

「起きてるー」

『10分後くらいにそっち行っていい？』

「うんわかった」

返事を見てすぐ俺は財布とルームキーを持って

コンビニへ向かった。

クリスマスやというのに
コンビニのデザートコーナーのケーキは
まだたくさん残っていて

どれがいいかな、プリン系の方がいい？
ブリュレも好きいうてたっけ

大橋の顔を思い浮かべながらケーキを買う

という我ながら柄にもないことをして

部屋に戻った。

片手にケータイとカードキー
もう片方の手には安いケーキが入ったコンビニの袋。

自分の部屋を出て隣の部屋の呼び鈴を鳴らした。