ホトケノザ (ページ41)

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12月25日。

俺は今東京にきてる
大橋と一緒に。

主演舞台が決まった時から
少なからず抱えていた不安は

歌稽古で東京に行く今日までに
だんだんと大きくなっていて

移動の新幹線では寝たいのに

目を閉じても寝られへんくて

とりあえず無心になろうと思って2時間半過ごした。

隣に大橋が座っているのに
こんなにも自分の感情に左右される自分に

少し嫌悪感を抱いてしまう。

東京に着いてすぐに向かった歌稽古では

今まで歌ったことがないような音域の曲や
ミュージカルでの声の響かせ方

この世界に入ってから１０年以上経つけど
どちらかというとストレートプレイの方が好きかな、
なんて思ってた俺はミュージカルの知識なんて全然なくて

正直
焦った。

入念に確実に仕事をこなしたい俺は

ダンスの振り入れしたらその日のうちにある程度形にしたいし
歌う楽曲が決まったら歌詞をすぐに覚えたい。

今までの仕事とは
勝手が違いすぎて

どうしたらいいんやろう。

慣れない東京でこれから数ヶ月は大橋とふたり。

大橋の未来もかかってる

なんていっちょまえに思ってたけど

そもそもまず自分の心配せなあかんやん。

大丈夫かな

なんて思ってたら

「じょうくん！！ご飯食べよ！」

稽古が終わってホテルに戻る準備をしていたら
大橋が話しかけてきた

「ふたりで東京にきた記念！」

『ふふっ、なんやそれ
じゃあいこか』

暗がりに転がり落ちかけていた俺を明るい大橋の声が引き戻してくれた。

外に出ると

キラキラと輝くイルミネーションに包まれてあるくカップルや楽しそうな人々。

せやん、
クリスマスやった。

食事中も
『正門たちもよく両方こなしたよな』

「give me...また歌いたいよな」

「最後の最後まで俺宣伝上手くなられへんかったわあ！笑」

『流星もがんばってたなぁ』

「『終わってもうたなぁ』」

自ずと12月に行われたクリパの話で盛り上がった。

一緒におる人がいるって
いいな。なんか安心する。

外に出てホテルに戻る道の途中。

ちょっとした人だかりを見つけた。

大橋が
見てみよ！！

と少し足早にそちらに向かっていくから着いていくと

その中心には路上でサックスを持った外国の方がいて

お、東京のクリスマスはやっぱちゃうな

なんて思わされた。