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「あの時代…、君の存在は異質やった―――・・。」
生前のAが生きた時代、先代賀茂忠行からの本家筋とその分家、そして突出して霊力が高い安倍家や水上家、西川家などある程度陰陽師の家は出来上がっていた。
しかし、
「君が生まれた。それも名のある武家から…」
私が生まれた後は女児しか恵まれず、ただでさえ霊力の強い私は はじめ狐憑きと忌み嫌われたものだ。
「賀茂家に預けられ、その後…君は十六夜様に拾われる形で侍女になった。陰陽師の派閥争いから退いていった君やけど、君は俺が認める妹弟子で、その上には長の賀茂志水がおる。君は実質誰もが認める第三位の術士や…。それが十六夜様亡き後、君は事もあろうにあの犬の倅の面倒見る言うて、払い屋をも退いた…。それをほかの一族が黙ってる訳があらへん。」
ぐいっと晴明が酒を煽って口角を上げる。
「とは言っても、君は簡単に陥れられるほど簡単な人やない。それだけに塵も積もればどうとやら……、妬み羨む者の思いが募るほどに・・どこからか偲んでいた"玉"の力が存外に膨れていったというわけや。」
「・・・・・・玉?」
思わぬ言葉にピクリと眉尻が上がる。それを見た晴明は怪訝な目を向けるAに扇子の先を向けた。
「君ももう持ってるやろ。」
「!…」
思わぬ言葉にまさかと視線が揺れ動く。
「…四魂の玉。」
「…冗談やろ?」
静かに頭を振る晴明にAの表情が曇る。
「君は何故かあの玉に執着されとる。君が死んだあの日…、君の魂を喰らえんかったあの玉は見えへん糸で君の魂を繋いでしもた。時代樹より深く、時限を超えた絆や…。」
「……。」
「俺と志水兄さんの寿命はたかが知れとる。君が来世に生まれる時に生き急いどる犬の大将が生きとるとも限らん…。やから、」
ドクン…
踊らされた陰陽師の覇権争い
広がる憎悪に 比例して群がる魑魅魍魎
弱体化する都 幼い帝 操られた摂政
そして
妖怪と密通し、半妖を育てた女術士
頭の中で真っ白だったキャンパスが一つ一つパズルのように埋められていく。
「俺たちは君を来世に生かすことにした。四魂の玉の呪縛を解くには君無しでは叶わへん…。」
「…まさか」
晴明の言葉で血の気が引いていく。
「…遠鷄」
贄を捧げて成立する《転生の儀》
「彼が君の魂を次代に繋いだ。四魂の玉の呪縛を解くためにな。」
前世から禁忌とされている術だったから。
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ゆうみん - 犬夜叉もなぜ、彼女ちゃんが気になる。もしかして好きなのかな、次回楽しみです (2022年1月9日 10時) (レス) @page32 id: ef5d083eda (このIDを非表示/違反報告)
natto710(プロフ) - pa_m_083さん» ありがとうございます!ほんのちょっと更新しました!もし良ければお読み下さい! (2021年8月24日 8時) (レス) id: 10dd1f82d2 (このIDを非表示/違反報告)
natto710(プロフ) - むつきさん» 遅くなってすみません(;▽;) (2021年8月24日 8時) (レス) id: 10dd1f82d2 (このIDを非表示/違反報告)
pa_m_083(プロフ) - とっても面白かったです。更新待ってます (2021年7月12日 0時) (レス) id: b7f8e21940 (このIDを非表示/違反報告)
natto710(プロフ) - 瑠李さん» すみません!書いて消したりしてたので、29話が30話になってました(;_;) ご指摘ありがとうございます! (2021年5月3日 12時) (レス) id: 0b5fbc3faf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:natto710 | 作成日時:2020年5月30日 18時