よくある話。

18 海青side ページ18

さっきから部屋の中でずっとソワソワしてる俺のご主人





「もー！少し落ち着いてくださいよっ」



『む、無理だよ！だって今日の夜は……』




そうそう。

昨日はAさんが悲しい思いをしたから
今日は俺ら執事組は気を利かせて、北人さんと二人きりにさせてあげるんだ〜



でもね、赤くなってる所申し訳ないけど、

そういう、あの…あれは、ない、と思います、、




『……どんな顔して過ごせばいいの』


「ふつうにしてればいいっすよ」



フフッ


この人ほんとに見てて飽きないな





「あ！そろそろ俺たち時間なんで、行ってきますね」


『もう？！』


慎「海青行くぞーー


じゃあ行って来ますね

A様も、北人さんがまってますよ」


『…………』





固まってるし。笑





「大丈夫っすよ。いつも通りでいいんです

後から話たくさん聞かせて下さいね」




『ほんと、？』





「「大丈夫」」って俺が声をかけると、ホッとした顔をしてる


そういう所も、ほんとに可愛らしい方だなーって思う






『そうだね、うん、よしっ！』


慎「元気でたみたいで良かったです笑」



『海青くん達も、楽しんできてね』




結局、ニコニコしながら俺らを見送ってくれた




……全部が違うんだよなあ、今までのお嬢様たちとは



例えば、こういう時だって、


「執事のくせに娯楽なんかありえない！」とか「主人をほったらかしてどこにいくの！」

なーんていう文句は聞きなれてるけど、

こんなふうに 笑顔で「いってらっしゃい」って言ってくれる人なんか初めてだ





慎「海青、おれは確信した。

北人さんのお嫁さんになるのは絶対A様だね」



「……だね」



助手席に乗ってる慎も、同じことを考えてるみたい





………ただなぁ、




Aさんが優しい人だからこそ、“あの真実”を知ったらとても悲しむと思うんだ




「まこっちゃん…、おれ、Aさんには笑顔でいてほしいな」



脆いくせに、人一倍強がって、弱ってるところを隠す人だろうからさ



ちゃんと俺が守ってあげないと。




あの人の泣き顔は見たくないな

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