義理の兄、ホストだった件。

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Aside



両親出発の朝。



もうすでにほとんどの荷物は向こうの家に送ったらしく、今手にある荷物はほぼないらしい。



玄関先で樹さんと２人で見送ることに。



華子「じゃあ行ってくるわね！！２人とも仲良くするのよ？」



「……まあ、期待には添えないかと……」



樹「…………」



父「樹くん、ごめんな。Aをよろしく。」



「お父さん余計なこと言わないでいいから。」



樹さんは相変わらずぶっきらぼうに黙ったままだ。



「とにかく、２人とも気を付けて。」



華子「ありがと〜！！ほんとAちゃんはいい子ね〜！！」



華子さんは私の頭を撫でると、ジトっと樹さんを見つめる。



華子「樹。……あんた、Aちゃんに家事任せっぱなしにしないでよ？ただでさえなにもしないんだから……」



樹「あーもうわかったって！早く行かないと飛行機遅れるぞ。」



華子「はいはいわかったわよ！じゃ、家のことお願いね。」



「はい。」



父「じゃあ、行ってきます。」



「いってらっしゃーい！」



樹「…………」



２人が玄関から出ていき、場担と虚しく閉まるドア。



取り残された私たちに、気まずい……というか、戦闘モードのような雰囲気が流れる。



樹「…………」



「…………」



お互い目を合わせることなく、ただ黙ったままだ。



樹「…………お前さ、」



「……なに」



急に話しかけられて驚く。



でもすぐに言葉を返す。



ちらりと目線を上にあげると、こっちを見ずにそっぽを向いたままの樹さん。



樹「…………マジで余計なことすんな、」



「…………はぁ？」



それだけを言い残すと、樹さんは自室のある２階へあがって行った。



なにそれ！？



余計なことすんな！？



はぁ！？



「……まじムカつく……」



樹さんとの生活、もうしょっぱなから上手くやっていける自信がないです。






樹side



俺は自分の部屋に戻ると、ベッドの上に寝転ぶ。



ちらりと壁を見ると、ハンガーがかけてあって真っ黒なスーツがかかっている。



……今日も仕事だ……



わりとこの仕事は、俺に向いていると思う。



女を適当に褒めておだてて、酒を飲めばいいんだから。



まあたまに厄介な客でもめたりするけど。



“「私だって知りたくて知ったわけじゃないんだし！！」”



樹「…………」



突然出来た妹。



母親から再婚を聞かされ、そんなに驚きはしなかったが妹が出来ることには心底驚いた。

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