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剣「いらっしゃいませ、出勤御苦労さまで、…!」
「こんばんは、刀也」
剣「…ほんっとうに貴方って人は…、僕の情緒を掻き乱すのがお上手で」
手を止めてこちらを向けば、はあと溜め息を吐いてそう言う刀也。
無理もない、この店には半年ほど顔を出していなかったから。
「前話してた新店舗が落ち着いてね、新人くんも入ったって聞いたしこの店舗に常駐しようと思って」
剣「そりゃ半年もあれば新店舗は新ですら無くなるでしょうね…、じゃあオーナー、ホール出ますか?」
「あはは冗談やめてよ刀也、まぁヘルプくらいなら考えてみるよ」
何年前だろう、最後にお姫様と話したのは。
顔は思い出せても、いつの記憶かはわからない。
剣「んふ、じゃあホール出て顔くらい見せてあげて下さい。みんな貴方のこと待ってましたよ」
「顔忘れられてたらショックだなぁ、みんなって、刀也は?」
剣「はいはい行きますよ、時間は有限。只でさえこの店には時間が無いですからね」
そう言ってはぐらかされたけど、ボクの背中をぐいぐいと押す刀也の目は潤んでいて。
僕が1番待ってたに決まってるでしょう、ボクにはそう聞こえた気がした。
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作者名:♢ | 作成日時:2023年2月23日 0時