【薄桜鬼】 妹さんはお手伝いさん 第二章

番外編〜日常〜　永倉新八 ページ48

新八side







以前、Aは剣が使えなかった。

だが、『千景さん』とやらに剣術を教えてもらったらしい。

それからは、俺たちと稽古をたまにするようになった。



平「負けたー！！！」

左「Aは体力があるからな……」

今日はAと左之と平助と朝からぶっ続けで稽古。

飯の準備や掃除を千鶴ちゃんに任せているから安心だ。

もう日は傾きかけていると言うのに、Aの体力は衰える事はなかった。

平「お前すげぇな！」

新「長期戦になると勝てる気がしねぇ……」

貴「体力なら負けないよ」

額の汗を拭いながら、Aは爽やかに笑った。

平「悔しいから今日は飲むぞー！！」





それから俺の部屋で酒を飲み始めた。

平助はともかく、珍しく左之も早々と寝ちまった。

貴「新八さん、まだお酒いる？」

酒が飲めないAは、疲れた様子を見せずにずっと俺と喋っていた。

新「いや、今日はもうやめとく」

貴「わかった。……あ、そうだ新八さん」

Aは思い出した様に顔を上げた。

新「ん？ どうした？」

貴「稽古に付き合ってくれてありがとう」

新「いきなりどうした……？」

俺が訊くと、少し悲しそうに笑った。

貴「隊士の人たちに頼んでも、立場上手加減される事が多くて……」

新選組一番組組長の妹に傷でもつけたら怖いから、平隊士は稽古で手を抜くらしい。

貴「だから、本気でやってくれる新八さんたちには感謝してるんだ」

新「なんだ、そんな事か。いいってことよ！ いつでも稽古つけてやるからな！！」

俺自身、Aと稽古をする時は密かな楽しみだからな。

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