【薄桜鬼】 妹さんはお手伝いさん 第二章

第七十六話 ページ36

風「A、お前はずっと新選組にいるつもりか？」

お茶を飲んで一息ついてから、千景さんが切り出した。

貴「どういう意味……？」

風「新選組にこのまま居続けるとお前まで死ぬかもしれない。それでもいいのか？」

貴「うん。兄ちゃんと一緒にいられるなら」

風「だが、お前は殺されるかもしれぬ」

貴「でも……千景さんに剣術だって教えてもらったし……」

風「確かにお前は強くなった。だが、お前に人が斬れるか？」

貴「――――ッ」

その問に答える事はできなかった。

兄ちゃんが斬れと言うなら斬れるかもしれない。

でもうちは……人など斬りたくない。

兄ちゃんたちには悪いけど、うちに人を殺す事は出来ないと思う。





風「覚悟がない奴がいても、足でまといなだけだ」

貴「じゃあ……うちは…………」

どうすればいいの？

風「今すぐにとは言わぬ。もっと状況が悪化したら、逃げるべきだ」

貴「うちがいなかったら誰が隊士たちにご飯を……」

千景さんは何が言いたいんだろう。

貴「……うちは邪魔なのかな？ 人が斬れるなら……みんな側に置いてくれるかな？」

風「A……」

貴「例え逃げるとなってもどこに？ うちには……新選組しかないのに……」

他に知り合いなどいない。

多摩にはミツ姉ちゃんもいるけど……。

これ以上姉ちゃんに迷惑かける事はできない。

不意にうちの頬を涙が伝う。

うちは一体……どこにいけば……。

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