【薄桜鬼】 妹さんはお手伝いさん 第二章

第五十七話 ページ16

土方side







総司の部屋に行ったあと、Aの行方がわからなくなった。

隊士は誰も見てなく、井戸のそばにはおじやが入った鍋と椀が置いてあった。



左「土方さん！ 八木邸の方にはいなかった！！」

一「副長、三条大橋の方にもいませんでした」



新選組は総力をあげてAの捜索をしている。

総「…………」

総司はさっきから何も喋らない。

平「土方さん……これからどうするんだ？」

とりあえずAが行きそうな場所とその周辺は全て探した。

だが、どこにもいなかった。





総「やっぱり僕が探しに行きます」

ずっと黙って座っていた総司が立ち上がる。

土「総司。お前は休んどけ」

総「嫌です」

近「総司……トシの言う通りだぞ……」

総「絶対嫌です。僕はAの兄ですよ？ Aの事は一番わかってるつもりです」

それだけ言って部屋から出る。

左「おい、総司！！」

総司は皆が止めるのも聞かずに屯所から出ようとする。

平「総司、ちょっと待てよ！ 少し落ち着けって！！」

総「これが落ち着いていられる訳ないじゃん！ 僕がAを探さなきゃ――」

境内まで出たところで、総司は目を見開いて息を呑む。

皆、総司が見ている方を見る。

そこには、Aを抱えた奴がいた。

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