鬼の血脈 (ページ6)

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参話　引き籠りページ6

「おーい。飯どうすんだ～？ヾ｜´｀＊｜」

ノックが聞こえたと思ったら、反ノ塚の緩～～い声がした。

「リビングに置いといてくれ」

俺は部屋からは出ることをせずに返事をする。いつものことだ。

「でもさ～」
「いい」
「そうか？たまには外出ろよ～じゃあな」
「おぅ」

正直、反ノ塚みたいな奴は助かる。
妖館に来て一ヶ月。思ったことはみんな、無理強いなことはしない。白鬼院もそうだが、俺もあんまり人とは関わりたくない。
必要な買い物は反ノ塚に頼んであるし、学校も行ってない。てか、入学してないし。まぁ大きい理由は他にあるが、この際どうだっていい。
ほとんど部屋からは出ない。そのせいでがしゃ髑髏にも、雪女にも、狸にも未だにあってないが…。まぁこれが俺の日常だ。
白鬼院家は崇めるタイプの家柄で大抵の人は遠巻きにする。近くに来たとしても、金や名声目当てか、白鬼院を気に食わないやつらか、どっちかだった。
紅鬼院家は違う。うちの特性で勝手に人が寄ってくる。

正直、困る。死ぬほど、困る。

俺は先祖返り以外の奴とまともに話せたことはない。し、喋りたくもない。関わりたくないのに近寄ってくるんだから、外に出なければいいって考えたのがきっかけだな。

「さて…」

俺はパソコンの電源を入れる。
だから、ネットに逃げ込んだ。ネットは顔も立場も知らないからこそ、一個人として対等にしてもらえる。一緒にゲームしたり、チャットしたり。俺はただ他の人がすることをバーチャルでしてるだけだ。

俺はリアルが苦手なだけだ。

カタカタと言うタイプ音、パソコンのローディングの音。それだけしかしない部屋。もう何年もこの音ばかりだ。ただ一度音がするのは夜中２時に開始される俺の声だけ。
パソコンを手にいれてからずっと続けてること。それは
ニコ動の生主。
歌枠、ゲーム実況、凸枠、喋り枠、ポエム枠。色々してるけど、一番評価されたのは歌枠だった。俺は年齢不詳、性別不明の歌い手、そして作詞家として、認められた。イベントも一切ない。動画と生放送のみだ。顔をさらすことも一切ない。それでも認めてくれた。夏コミで出したCDも完売した。
嬉しかった。俺は居場所を見つけた気がした。いろんな歌い手と知り合えた。コラボもした。楽しかった。
リアルがどんなにダメでも、俺は居ていいんだと思えた。
俺がただの人として生きて行ける場所がそこにはあった。