参拾漆話 傍に 後半 ページ45
「俺は知ってる。お前は逃げてなんかいない!!だって、消えたって、消えなくたって、結局お前は傷付くんだ。それをお前は知ってる。なのに、消えるのは俺達を傷付けないためだ。それを“優しい”と言わないでなんと言うんだ!!」
また泣いている。君はよく泣くね。いつもいつも、俺なんかのために。
「お前はただ許せなかったんだろ？自分を、他人に不幸を振り撒く自分を許せなかったんだろ？」
そうだよ。だから、消えなきゃいけないんだ
「馬鹿かお前は！お前が勝手に消えるなんて俺にとって不幸以外のなんでもねぇぞ!!」
「水無、貴様はまだ私が怖いのか。怖がっているのは私ではない!!貴様ではないか!自分の罪をみるのが辛かったのだろう？しかし、罪など存在しない!!貴様に責任などない！」
「紅鬼院。僕は確かに死にかけたかもしれない。でも!君のお陰で僕は虐められなくなった。感謝はしても恨む理由などない！」
「私個人としては漓々蝶様の御友人でおられる紅鬼院にはとても感謝しております。貴方のお陰で漓々蝶様は今もこうして明るくおられるのですから」
「吸血鬼の先祖返りとして生まれたのはお前の責任じゃない。そんなもんに負い目なんか感じる必要なんかないんだ」
「でも!!」
「お前といることが傷付くことなら俺は喜んで傷付いてやる!!お前が今まで一人で背負って来た痛みを一緒に背負ってやる!!お前に罪なんかあるものか!!」
父を殺し、母を殺し、友を傷つけそんな俺に罪はないと？
「お前が、自分を許せなくても、愛せなくても、俺がお前の分までお前を愛してやる!!許されないなら共に償ってやる!!」
「どうして…」
「例え、死別が運命だとしても、俺は何度生まれ変わってもお前の傍にいる!!だから！」
前世の記憶がフラッシュバックする。重なり聞こえてくる声。
“何度生まれ変わってもお前の傍に”
「ずっと一緒にいよう」
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作者名：C`S | 作成日時：2015年2月26日 17時
