弐拾参話 純血 ページ29
「純血？」
「吸血鬼には二種類あるんだって知ってた〜？」
「元人間か、そうでないか。ですか？」
「そうそう。双たん、あったり〜!!」
前に水無から聞いたなかにはなかった話だった。
双織がいつものニコニコ顔で答える。元人間かどうか…？どういうことだ？
「えっとね、純血の吸血鬼は別の吸血鬼によって造られるものじゃないんだよ。純血の吸血鬼は純血の吸血鬼の子もしくは分身、コピーと言うのかな〜？それでしか存在しえないんだ。純血の吸血鬼には、吸血によって従属を造ること、コウモリに変化出来ること、何百年と言う眠りにつくこととかが出来るんだけど、従属の吸血鬼は吸血による従属造りや、コウモリ、冬眠は出来ない。それに従属の吸血鬼のほうが吸血衝動は少ないね」
「つまり、純血によって血の従属にされた元人間の吸血鬼は血も薄く、従属を造る力も無いってことか？」
「元々吸血鬼は自分の身体は死んでいて食物によって血を得られないから吸血によって永らえてるんだよ。だから、身体が死んでない従属は不死身じゃないし、冬眠とかには身体が耐えられないんだよ〜ヾ(///∀｀ )」
「それって…」
つまり…“水無は生まれたときから死に続けてるってこと？”
「吸血鬼の子は最初から死体として生まれるんだ」
そう言った夏目の声はいつもの…さっきまでの明るい声じゃなくなっていた。そのひどく真剣な声色に俺は恐怖を覚えた。
生まれたときから命を持っていない？
死ねない身体ではなく死に続けてる身体。
「つまり、純血の吸血鬼の先祖返りであるみなたんは死者として生まれてきたんだよ。きっともう随分前から成長してないんじゃないかい？」
言われてみればそうだ。水無は中学生、下手すれば小学生にも見えるほど幼い。俺と同い年と聞いていたから、写真をみて驚いたのを覚えている。
「俺を守ってくれた水無は170�儖未梁膺佑僚�みたいな感じだったぞ？」
「吸血鬼は美形と思われがちだけど、実際は自分を理想の姿に見せてるだけなんだ〜」
それは前に水無から聴いたことがあった。人を惹き付ける力の種明かし。見ている人に理想を見せることで惹き付けている。
「つまり、今の水無が考える理想の姿があの姿だってことだろう。」
「今のってことは変わるのか？」
「僕が見たことあるのは背の高い青年の姿だ。」
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作者名：C`S | 作成日時：2015年2月26日 17時
