第28話 謎な後輩 ページ28
「ちょっと！大丈夫？！」
彩子が心配そうに駆け寄ってきた。
「だ…大丈夫…！」
私はそう言って笑ってみせた。
彩子への黒い感情も、先程の頭への衝撃で全部ふっ飛んでいってしまったのか、今は驚くくらい何も考えられない。
「冷やした方がいいんじゃないの？」
「ううん、これくらい大丈夫！ありがとね。」
きっと軽く投げただけのボールだし。
私がまたボーッとしてたのも悪かった。
「…ったく、アイツにも後で厳しく言っとかないと…。」
少しだけ眉をひそめて言う彩子。
それは是非ともお願い致します。
「私、晴子ちゃんのところに行かないと…！」
晴子ちゃんに仕事を任せていたんだった…！まずい！
心配そうに眉毛の端を下げる彩子を背に、私は急いで晴子ちゃんの元へと駆けて行った。
「(流川君め…！覚えてろ…！)」
どっかの負け犬の捨て台詞みたいな言葉を心の中で呟きながら…。
一方、流川君の方はもう私にボールを当てたことなんてとっくに忘れたかのように練習に夢中だった。
数日後。
角野高校との試合では、100点以上もの差をつけて勝利した湘北高校。
桜木君以外のレギュラーメンバーはすこぶる調子が良さそうだった。
桜木君は、一瞬で5ファールをとられて即退場になり、かなり落ち込んでいるみたいだったが…。
宮城君は今日も安定にカッコ良かった。
それに流川君も…。
私はここにきて初めて試合中の流川君を注目して見ていたような気がする。
まるで宮城君への想いから逃れるかのように。
宮城君が視界に入るたびに心が悲痛に叫んで痛かった。
それに、最近少しだけ流川楓という人間にも興味が出てきた。
ここのところたまに話すようになったということも、大いに関係しているのだろう。
流川君に関われば関わるほど、彼がわかっていくようで、それ以上に謎も深まっていく、そんな不思議な感覚がなんだか気になった。
彩子への嫉妬の感情は、自覚してからというもの、自分の中で少しずつ存在感を増すようになった。
些細なことがきっかけで、自分と彼女を比べてしまうことが多くなった。
劣等感や妬み、僻みの感情が渦巻いてしまい、どうやって対処していいか途方に暮れた。
その度に酷く自己嫌悪に陥った。
何の取り柄もないくせに、心まで醜くなってしまったらもう救いようがない…。
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わた丸(プロフ) - メガネさん» そう言って頂けて大変嬉しいです。不定期で申し訳ありませんが、完結まで更新頑張ります！ (2023年2月27日 16時) (
レス) id: 889abdf4ce (このIDを非表示/違反報告)
メガネ - 夢中になって読みました。ありがとうございます。続きが気になりすぎる (2023年2月27日 1時) (レス) @page30 id: 434307a1aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わた丸 | 作成日時：2023年2月5日 14時
