第25話 新しい友達 ページ25
それから私は校舎に戻り、御手洗いの鏡を見ながら何度も自分の目蓋を確認した。
「(よし！腫れも引いてきた…！)」
自分の顔がいつも通りに戻ってきたことを確かめて、御手洗いを後にし、自分の教室へと向かう。
丁度お昼休みも終わりかけで、次の授業の支度をする人やいつまでも話に花を咲かせている人などで、廊下が賑わっていた。
そしていつもの教室に入ると、真っ直ぐに自分の席へと向かった。
なんとなく注目を浴びているような気がして落ち着かない。
自分の席に座ってホッと一息ついた時。
とても可愛らしい声が私の名前を呼んだ。
「ねぇ。有沢さん。」
くるりと振り返って声を掛けた人物と目を合わせる。
彼女の姿を見た瞬間、バッと衝撃が走るような感覚を覚えた。
「(かっ…可愛い…！)」
クリッとした二重の大きな目に長い睫毛、スッと通った鼻筋の先には高くて小さい綺麗な鼻。
透き通るような白い肌に、パッと花が咲いたような桃色の小さな唇は、口角が少しだけ上向きでとても良い形をしている。
こんなに可愛い人、うちのクラスにいたんだ…！
「午前中、いなかったよね？もし良かったら、私のノート見る？」
なんとそして優しい。
「えっ…！いいの？！」
「もちろん！」
そう言ってふわりと天使のような笑顔を見せた彼女は、午前の授業のノートを私に差し出す。
「ありがとう…！」
休んでしまった所をどうしようかと、丁度頭を悩ませていたところだった。
それも相まって目の前の彼女が女神様にしか見えない。
「私、
「うんっ！よろしく〜！」
そう言って、お互い目を見合わせて笑い合った。
つくしちゃんっていうのか〜、名前まで可愛い！
人付き合いがあまり得意でない私にとって、筑紫ちゃんという新たな友達の存在はとても心強かった。
唯一の友達と言っても過言ではない彩子とは、新学期になってクラスが離れてしまったので余計に。
程なくしてチャイムが鳴った。
筑紫ちゃんは、" じゃあまたね "と可愛らしい手を小さく振って微笑むと、自分の席へと戻って行った。
私の手には数冊のノートだけが残され、さっきまでの会話の余韻に浸る。
彼女のノートをまじまじと見つめると、そこには " 藤澤筑紫 " と、これまた可愛らしい文字で名前が書かれてあった。
その文字面になんとなく既視感を覚えたが、何故だかは思い出せなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わた丸(プロフ) - メガネさん» そう言って頂けて大変嬉しいです。不定期で申し訳ありませんが、完結まで更新頑張ります！ (2023年2月27日 16時) (
レス) id: 889abdf4ce (このIDを非表示/違反報告)
メガネ - 夢中になって読みました。ありがとうございます。続きが気になりすぎる (2023年2月27日 1時) (レス) @page30 id: 434307a1aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わた丸 | 作成日時：2023年2月5日 14時
