第3話 やらかし ページ3
お察しの通り、私の慕っている彼は彩子に惚れていた。
私もそのことはとっくに知っていた。
彼はとてもわかりやすく彼女に好意を示していたから、きっとバスケ部員なら誰もが知っていることだろう。
それをわかりながら彼を好きになった私は、相当な愚か者なのかもしれない。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「ふぅ…。」
あれから部活も終わって、私は体育館の裏にある水道で1人せっせと洗濯をしていた。
それも2回目の洗濯だ。
もちろん本来は部活後に1回、その日みんなが使ったタオルをまとめて洗濯すればよいことになっている。
ならなぜ2周目洗い始めているのか。
それは紛れもなく私のポンコツさ故のことである。
1周目の時はいつものように彩子と一緒に洗っていた。
しかし今日は彩子が家族で夕食を食べに行く約束があるというので、全部洗い終わってあとは干すだけ、となった時点で、
「あとは私に任せて！」
と言って彩子を先に帰らせた。
せっかくの家族との時間なので、是非とも楽しんで貰いたい。
彩子は申し訳なさそうに、
「悪いわね…。ありがとう。」
と言ってすごく感謝しながら、急いで帰っていった。
「さてと…。」
さっさと洗濯物を干して帰りますか！と気合を入れて仕事に取り掛かったはいいのだが…。
ここで私の特性、"いつでもポンコツ" が発動してしまい、干した洗濯物に洗濯バサミをつけ忘れてしまっていた。
案の定、強い風が吹いた瞬間、干していたタオルはあちらこちらへと散らばり、あっという間に地面に落ちて泥だらけだ。
やってしまった。心底自分が馬鹿だと思った。
被害にあったタオルはざっと30枚くらいだろうか。
半分以上が無事なのは不幸中の幸いである。
落ちたタオルをさっさとかき集めた後、
私はジャージのポケットからメモ帳を取り出して、
"洗濯バサミはなるべく早めにつける"
と書き込んでからメモ帳を閉じ、ジャージのポケットにしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わた丸(プロフ) - メガネさん» そう言って頂けて大変嬉しいです。不定期で申し訳ありませんが、完結まで更新頑張ります！ (2023年2月27日 16時) (
レス) id: 889abdf4ce (このIDを非表示/違反報告)
メガネ - 夢中になって読みました。ありがとうございます。続きが気になりすぎる (2023年2月27日 1時) (レス) @page30 id: 434307a1aa (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わた丸 | 作成日時：2023年2月5日 14時
