春に【忍たま乱太郎】【笹山兵太夫】 (ページ29)

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春　２８ページ29

これから自分の部屋となる部屋へ荷物を置きに行くと、既に人が居た。

鶯色のふわふわな髪に、キリッとした顔立ちの女の子が本を読んでいたのだ。

その子は私を一瞥し、口を開いた。

「…同室？」

『はっ、はい！私、椛笑Aと申します…！』

「櫻井萌黄」

淡々と話す萌黄さんに、私は少し苦手意識を持った。

『これからよろしくお願いしますね』

「よろしく」

挨拶するなりすぐに本の世界へ戻っていった。

…話す時は必ず相手の目を見て話しているから根は悪い子では無さそうだった。

それから少しずつ関わっていく内に萌黄さんの心は開いていった。

『萌黄さんは、人見知りだったんですね』

くノ一教室の二年生の時、発覚したことだった。

「みたい。初めましての人はどう接すればいいのか分からないのよ」

それからお互いを知りに知り尽くし、周りから親友なの？と聞かれることもしばしばとなった。

私たちは自覚してないわけで。

『私たちは親友なんですか？』

「みたい。だから親友でいっか」

『はい』

という、何とも私たちらしい親友の出来方だった。

これが、私の二人との出会い。