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春 26 ページ27

笹山家捏造あります!!
____


Aは自身の過去を遡っていた。


思えば兵太夫との出会いが人生の始まりだったのかもしれない。…とAは思った。


兵太夫さんと出会っていなかったら、萌黄さんや花蓮さん、美琴さんとも出会えてなかったと思うと、胸がきゅうっと締め付けられるような感じがしたのだ。




Aside



『母上さま、これから何を?』


「これから、Aの旦那様になる人がいらっしゃるのよ。あなたと同い年なんですって」


『…そうですか』


「もちろん、婚約するかどうかは貴方達に決めて貰うから安心してね」


『はい』


「さあ、姿勢を正して待ちますよ」


母は厳しく、そして優しかった。それは父にも姉にも当てはまった。


父、母、姉、私、の順番で座り、父の昔話に花を咲かせていた。


だからそんなに退屈じゃあなかった。


私の家は、優秀な人材を作り上げるため、小さな頃から言語と礼儀の教育を厳しくしていた。

父によれば相手方の家も同じような教育方法らしい。

そして到着したらしく、使いの者が襖を開けた。

相手の家族と、一番後ろには本人がいた。


特に興味も無さそうな気怠げな顔が印象に残り、不安に思った。

__大丈夫でしょうか。


それから父達が話し、少しして私たちが取り残された。


『……』

「……」



…沈黙が気まずい。


意を決して口を開きかけたその時、彼の口から始めて声がした。


「…笹山兵太夫です。……よろしく」


『…あっ、椛笑Aです。よろしくお願い致しします』


双方深々と頭を下げ、顔を見合わせた。


『ええっと、笹山さまはどちらの出身ですか?』

「僕は丹波の国。ここって信濃だよね」


『はい…、信濃です。遠くからいらしたんですね。


ええと…、今日はお見合いを受けていただき誠にありがとうございます』

「こちらこそ」

双方、五歳とは思えぬほどだった。


それから少しずつ会っていく内に、惹かれていった。


兵太夫さんがいらっしゃる時は待ち遠しく、前日は寝れなかった。


「A、もうすぐでいらっしゃるわよ」

母上さまから声をかけられては正門へお出迎えをした。


それほど、兵太夫さんが好きだったのだ。

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作者名:星波きらら | 作成日時:2020年10月8日 23時

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