春 26 ページ27
笹山家捏造あります!!
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*
Aは自身の過去を遡っていた。
思えば兵太夫との出会いが人生の始まりだったのかもしれない。…とAは思った。
兵太夫さんと出会っていなかったら、萌黄さんや花蓮さん、美琴さんとも出会えてなかったと思うと、胸がきゅうっと締め付けられるような感じがしたのだ。
Aside
『母上さま、これから何を?』
「これから、Aの旦那様になる人がいらっしゃるのよ。あなたと同い年なんですって」
『…そうですか』
「もちろん、婚約するかどうかは貴方達に決めて貰うから安心してね」
『はい』
「さあ、姿勢を正して待ちますよ」
母は厳しく、そして優しかった。それは父にも姉にも当てはまった。
父、母、姉、私、の順番で座り、父の昔話に花を咲かせていた。
だからそんなに退屈じゃあなかった。
私の家は、優秀な人材を作り上げるため、小さな頃から言語と礼儀の教育を厳しくしていた。
父によれば相手方の家も同じような教育方法らしい。
そして到着したらしく、使いの者が襖を開けた。
相手の家族と、一番後ろには本人がいた。
特に興味も無さそうな気怠げな顔が印象に残り、不安に思った。
__大丈夫でしょうか。
それから父達が話し、少しして私たちが取り残された。
『……』
「……」
…沈黙が気まずい。
意を決して口を開きかけたその時、彼の口から始めて声がした。
「…笹山兵太夫です。……よろしく」
『…あっ、椛笑Aです。よろしくお願い致しします』
双方深々と頭を下げ、顔を見合わせた。
『ええっと、笹山さまはどちらの出身ですか?』
「僕は丹波の国。ここって信濃だよね」
『はい…、信濃です。遠くからいらしたんですね。
ええと…、今日はお見合いを受けていただき誠にありがとうございます』
「こちらこそ」
双方、五歳とは思えぬほどだった。
それから少しずつ会っていく内に、惹かれていった。
兵太夫さんがいらっしゃる時は待ち遠しく、前日は寝れなかった。
「A、もうすぐでいらっしゃるわよ」
母上さまから声をかけられては正門へお出迎えをした。
それほど、兵太夫さんが好きだったのだ。
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作者名:星波きらら | 作成日時:2020年10月8日 23時