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その日の夜、ケーキを食べ終わってから将暉君はTwitterに私との交際を発表した。
何と言われるのか怖くて、スマホも開けなくて、小さく震える私を、「大丈夫よ」と将暉君が抱きしめてくれた。
既に芸能界から消えた私が、最前線で活躍している将暉君と交際をしていると知ったら、世間はなんて言うんだろう。
怖い。
「翠、もう寝よっか」
ダブルベッドに横になる。
将暉君が私を抱きしめて、トントンと体を叩いてくれた。
お互いのスマホの通知を切って、静かな空間で目を瞑る。
「……むかしむかし、ある所に一ノ瀬翠というお姫様がいました」
「………」
「そのお姫様は大変綺麗で、国民に愛される人でした。
しかし、愛されるが故に悪い妖精にも愛されてしまい、お姫様は長らく眠る魔法を掛けられてしまいました」
将暉君がポツポツと話し出す。
私は静かに聞いていた。
「お姫様は眠らされ、攫われて、大きな檻の中で眠ったままです。
その頃、王国では1人の勇者が立ち上がりました」
「……将暉君？」
「ふふっ……その勇者は、名前を菅田将暉といいます。
勇者は1人でお姫様を助ける為、旅に出ました」
何だかだんだん楽しくなって、将暉君の話に私も話を加えたりして、大冒険の話になった。
「勇者はようやくお姫様の元に辿り着きました。
お姫様は眠ったままです」
「…………ん…」
将暉君が優しく私の頭を撫でる。
「勇者は悪い妖精と戦います。
接戦でしたが、勇者がギリギリ勝ちました。
勇者は──」
そこから先は眠ってしまってわからない。
でも、きっとハッピーエンドだろう。
私はハッピーエンドが一番好きだ。
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作者名：hoshina
作成日時：2019年11月11日 17時
