1つの灯りが芽吹く時。【番外編】

絵本(柊一家) ページ21

家事を終わらせ、愛優と一颯さんの元に行く。

絵本の読み聞かせを強請られたようだ。

「むかしむかし、ある所に…」

愛優を自身の胡座の上に乗せ、絵本を読み始めた一颯さん。

とっても優しい声色で横に着く。

私も一颯さんの横に座り、絵本を見た。

「……朱莉？」

「ふふっ……どうぞ、続けてください」

一颯さんは私の頭を少し撫でてから、また絵本に視線を向けた。

キラキラした目を絵本に向ける愛優。

私はだんだん安心してきて、ゆっくりと一颯さん肩に頭を預けた。









「ママっ！」

絵本を読み終わった俺は、愛優にシーッと言う。

俺の肩に頭を預けた朱莉は今、すっかりと夢の中である。

「愛優、小さなお布団持ってこれる？」

愛優は静かに頷いて、忍者のように去っていった。

俺はゆっくりと朱莉の体を倒し、ひざ枕に変える。

愛優が持ってきたブランケットを朱莉に掛け、その背中を優しく叩いた。

「パパ…まゆもぉ」

「愛優も寝るのか？」

「うん」

「…そっか。じゃあ、皆で一緒に寝ような」

こうしてソファーで眠る柊一家が出来上がった。

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