1つの灯りが芽吹く時。【番外編】

警察署にて(柊一家) ページ20

こちらもリクエスト頂きました。

ありがとうございます。






「…で？話ってのは何だ」

警察署の会議室には柊、五十嵐、そして郡司がいた。

酷く真面目な顔をした柊が鞄から1冊のアルバムを取り出す。

「…何だ……これ」

「お二人のお陰であの10日間を意味ある日々にする事が出来ました。
先程、相楽さんにも報告したのですが、2人にも報告したくて」

柊はそのアルバムを2人の方へ差し出した。

五十嵐がそれを手に取り、ゆっくりと開く。

「っ………これ…」

郡司も気になり覗き込む。

そこには1枚の写真があった。

3年A組の生徒であった矢澤朱莉が、赤ん坊を出産したすぐ後の写真だ。

更にページを捲っていく。

ベッドの上に起き上がり、赤ん坊を抱く今よりも痩せている柊や、元クラスメイト達が嬉しそうに赤ん坊を抱く写真。

柊、朱莉、赤ん坊の家族写真や家での成長の記録を示す写真。

沢山の写真があった。

「俺の、新しい家族です。……っ、家族が…出来ました。俺…今、凄く幸せです」

五十嵐は微笑み、郡司も柔らかい表情でアルバムを捲り続ける。

「……そうか、良かったな」

「お幸せに」

柊は嬉しそうに頷き、ゆっくり頭を下げた。

こうして、3年A組のあの10日間が今、ようやく終わりを告げたのである。

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