朱莉の悪夢(柊一家) ページ28
愛優姫出ません
今でも、生々しく思い出す。
私とさくらの親友、景山澪奈の手がこの手から滑り落ちたあの瞬間の感覚と衝撃を。
身体が地面に叩きつけられた、その音と姿を。
私が、私達が、澪奈を殺した。
私は人殺しだ。
あの時、もっと私に力があれば………ごめんね、澪奈。
────────────────────
「朱莉………朱莉っ」
一颯さんの優しい声色と手つきで目を覚ました。
目を覚ました瞬間、ボロボロと涙が溢れて止まらなくなった。
起き上がると一颯さんが私を優しく抱きしめる。
「……どうした？」
トントンと背中を叩かれた。
私は泣きながら口を開く。
「っ………ごめん、なさいっ……ごめんなさいっ」
「…朱莉？」
「澪奈っ………ごめんっ……ごめん、なさいっ…」
私の無力だった両手。
澪奈を救えず、殺してしまった両手。
その両手が血で汚れているように見えて、掻きむしった。
「…朱莉」
一颯さんは私の手を優しく自分の手で包んだ。
「お前は、景山を殺してない。景山は、お前を恨んでない。
……だから、もういいんだよ」
「うっ………ぁっ……」
「大丈夫。…大丈夫だから」
一颯さんはどこまでも優しくて、温かかった。
でも、私は知っている。
一颯さん……先生も、あの日々は震えて、自分を責めて、泣きながら夜を過ごしていた事。
そして今も、小さく震えながら強がっている事。
「お前が責任を感じる事は無いんだよ」
一颯さんはまだ震えている。
だから、口をついて言葉が飛び出た。
「…先生も………悪くないよ、何も」
一颯さんは目を見開いて、それから小さく首を横に振った。
「俺には、責任がある」
「…せんせ……先生は、私とさくらの心を救ってくれた。
…だから、今の私は前よりも生きやすくなったと思う。
……じゃあ…誰が、先生を救うの？誰が、先生を楽にしてくれるの？」
一颯さんは黙る。
「本当の意味で私達が楽になるのはいつなの？」
私と貴方は、生徒と先生でありながら結ばれた幸せ者。
でも、人を1人殺してしまった。
その罪から上手く逃れられず、抜け出せずにいる罪深き者達。
きっと、最後に私達を救ってくれるのは、愛優なのかもしれない。
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蒼炎 - ほんわかしていて良いですね〜！柊先生がカッコいい笑 (2020年1月26日 13時) (
レス) id: 874e279780 (このIDを非表示/違反報告)
彩香(プロフ) - 柊先生が生きていたらなぁと思ってたので、すごく楽しんで読めました！続きも楽しみにしてます^_^ (2019年7月25日 20時) (レス) id: ca72bf60c8 (このIDを非表示/違反報告)
桜子 - ありがとうございます！更新楽しみに待ってますね笑笑 (2019年7月13日 22時) (レス) id: 88fe99195c (このIDを非表示/違反報告)
hoshina(プロフ) - 桜子さん» リクエストありがとうございます！！全然構いませんよ！！凄く幸せな柊一家の姿ですね（笑）了解しました！ (2019年6月27日 15時) (レス) id: 5593419b1c (このIDを非表示/違反報告)
桜子 - リクエストを聞いていただいてありがとうござます！もう一つリクエストとか良いですかね…？笑笑 まゆちゃんが甲斐のお嫁さんになる！って言って主人公と甲斐が凄い喜んで柊が凄いショックを受ける、みたいな話を…(( (2019年6月27日 9時) (レス) id: 88fe99195c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hoshina
作成日時：2019年3月31日 10時
